野村総合研究所(NRI)は11月25日、2025年9月に実施した「ユーザー企業のIT活用実態調査(2025年)」の調査結果を発表した。調査は日本国内の売上上位企業約3,000社を対象に、CIOやIT担当役員ら517社から有効回答を得たもので、今年で23回目となる。
2025年度に自社のIT予算が前年度比で増加したと回答した企業は49.0%、減少は7.5%だった。2026年度も47.5%が「IT予算が増加する」と答え、増加傾向は続く見込みだ。しかし、2024年度(59.0%が増加)と比べると10.0ポイント下落しており、伸びの鈍化も見られるという。
生成AIの導入も進んでおり、「導入済み」と「導入検討中」を合わせて75.8%に達した。導入済みは57.7%と、2023年度の33.8%から継続して上昇している。一方で、「今後検討したい」割合は前年より減少しており、検討から実際の導入へ進む企業が増えているのが特徴だ。ノーコード/ローコード開発の導入率も51.0%に伸びている。
課題として最も多かったのは、生成AI活用に関わるリテラシーやスキル不足(70.3%)、次いでリスク管理の難しさ(48.5%)だった。リテラシー不足は前年調査から4.9ポイント増加しており、導入が進む中で改めて現場スキルが求められている状況である。
また、レガシーシステムについては、アプリケーションで47.3%、基盤で48.2%の企業が依然として残存していると回答。レガシーシステム継続利用における懸念は「システムのブラックボックス化、有識者不足」(51.6%)や「ベンダーサポート終了」(50.1%)が多かった。
さらに、デジタル人材・スキルの獲得も課題となっている。プロジェクトマネージャーやITストラテジストの必要性は高いが、実際の人材確保状況にはギャップがあり、特にITストラテジストは29.6%にとどまった。
これらの結果から、日本企業ではIT・デジタル化に向けた予算拡大や最新技術導入が進む一方、リテラシー向上や人材育成、レガシーシステムの問題が依然として大きな課題となっているとした。
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EnterpriseZine編集部(エンタープライズジン ヘンシュウブ)
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