IoTの利用率が最も高いのは製造/資源セクターで利用率は8.5%
IDCでは5月~7月、全国の従業員規模100名以上の企業を対象に、IoTの利用動向に関する定量調査(Webアンケート)および定性調査(個別の対面インタビュー)を実施した。Webアンケートに対して回答があった4,517社の内、IDCの定義するIoTの利用企業は245社で、利用率は5.4%と前年の調査から0.5ポイント増えた。大手の製造業が中心となり、IoTの利用率は着実に向上しており、またいずれの産業分野でもIoTに対する認知度は高まってきている。
IDCでは、IoT利用企業の産業分野を4つのセクターに分類している。セクター別に見た場合、IoTの利用率が最も高いのは製造/資源セクターで利用率は8.5%。組立製造/プロセス製造分野を中心にさまざまな組み込み機器が、古くからIoTとして活用されてきていることが関係している。
製造/資源セクター以外の利用率は、流通/サービスセクターが3.2%、公共/インフラセクターが4.0%、金融セクターが3.5%となった。利用用途別に見た場合、M2M(Machine to Machine)時代の名残りとして自社内の業務効率化/コスト削減を目的とした「社内用途」のIoTが全体の8割以上を占める。一方、社外顧客へのサービス付加価値向上/新ビジネス創出を目的とする「社外用途」も徐々に広がりつつある。
社内用途でのIoT利用では費用対効果の明確化の難しさなどを課題として認識
また、IoTの導入/運用窓口については、事業部門の割合(約46%)がIT部門の割合(約32%)を上回る結果になっている。事業部門が主体となってIoTビジネスを加速するのに伴い、各産業分野に強みを持つ非IT事業者と企業の事業部門が密に連携して、新たなIoTのユースケースを創出するようなケースが増えるとIDCではみている。
IDC Japan コミュニケーションズ マーケットアナリストの鳥巣悠太氏は、「社内用途でIoTを利用する企業は、費用対効果の明確化の難しさ、セキュリティ懸念、技術力不足、人材育成の遅れ、などを課題として認識している。また社外用途で利用する企業では、IoTによる事業競争力の更なる強化や、新規顧客開拓に向けて試行錯誤する取り組みが見られる」と述べている。
今回の発表は、IDCが発行したレポート「2016年 国内IoT市場 ユーザー利用動向分析」にその詳細が報告されている。このレポートは、国内における企業のIoTユーザーに対して定量/定性調査を行い、その利用動向について分析を行っている。