6年連続で売上を更新
2016年のSAPは、グローバルでは、対前年比7%の伸び、日本では10%の伸びとなった。特に日本では、クラウド新規受注が対前年で2.4倍(+139%)、さらにオンプレミスなどのソフトウェアライセンスの買い取りも14%成長した。このことから、「SAPジャパンはクラウドもオンプレミスも両方成長している企業」だと強調した。
2010年から現体制になってからの7年間の成長は著しく、クラウドの売上は30倍、総売上、純利益とも7年で倍増している。中期の計画としては、2020年に向けて280-290億ユーロ(約3兆円)営業利益85-90億ユーロに向けて堅調に推移しているという。
デザイン思考にフォーカス
今後の取組としては、デザイン思考(Design Thinking)による顧客へのサポートプロジェクトを一層進めたいと福田社長は語る。
事業開発、製品・サービスなどのイノベーションを生み出すために、チームやグループで視覚的な手法を用いるワークショップをSAPでは、シリコンバレーの企業内大学のSAPアカデミーで行っている。自社や顧客のビジネスモデルや中期計画にも導入しているという。
日本でのデザイン思考のプロジェクトの成果も紹介された。NTTがおこなったバス運転手の身体状況を検知し安全運行のためのプロジェクトを紹介した。これは昨年(2016年1月)におきた軽井沢スキーバス転落事故がきっかけで始まったものだという。NTTと東レが共同開発した「hitoe(ヒトエ)」という機能素材によるソリューションだと紹介した。他にも地震計アプリの「my震度」などもこうしたデザイン思考の取組みの成果だと紹介し、「日本の暗黙知を形式知化して世界に展開する」と述べた。
SAP S/4HANA Cloud導入進める
またSAP S/4HANA Cloudとしては、大企業の三井物産が基幹システムをクラウド化したという事例をはじめ、中小企業のグレースの事例などを紹介した。さらにIoTに関しては、「とりあえずデータを収集する段階は過ぎた」と語り、「SAP Leonardo(レオナルド)」に注力すると意気込みを語った。
SAPの競争力は「様々な課題を因数分解し、デザイン思考によるフレームワーク化、汎用化により横展開する」だという。その上で福田社長は、日本のERP市場はまだまだ開拓余地があると自信を表明した。