データ連携ミドルウェア「ASTERIA」などで知られるインフォテリアが、英国に本社を置くデザイン戦略企業のThis Place Limitedの株式の100%取得に4月4日合意し、4月20日に買収を完了すると発表した。
買収の目的は、デザイン指向のソフトウェア開発を進め、両社のシナジーを活かし欧米をはじめとした海外市場の開拓を加速するためだという。
買収金額は、7百万英ポンド(約10億円)となる。買収後5年間でThis Place社の業績によってインセンティブが支払われる「アーンアウト」というスキームで実施される。インフォテリアの東証開示資料によると「アーンアウト対価として、This Place社の業績達成度合いに応じて、50%を現金、50%を当社普通株式(内株式の50%を3年間の譲渡制限付き)で2022年7月までの5年間に渡り交付することがあります。」という。
買収が完了するとともにThis Placeはインフォテリアの100%子会社となり、CEOのDusan Hamlinは現職を継続しつつインフォテリアの執行役員グローバルCOOとなり、またインフォテリア平野社長もThis Placeの経営に参画する。
インフォテリアは3年ほどまえから英国大使館を通じて、イギリスのテクノロジー企業に関する情報提供を受け、ロンドンはじめイギリス各地の現地での視察や調査を重ねてきた後、This Place社に出会った。買収に踏み切った理由は、同社の「創業からわずか5年での急成長と高収益」だという。
「アクセンチュア、Facebook、マッキンゼーなどによる大型のデザイン戦略企業の買収が相次いでいるように、今後の企業においてデザインがビジネス戦略の核になる。ソフトウェアも例外ではない。要求定義からおこなう“機能ファースト”の時代は終わり、“デザインファースト”に変わる」(平野社長)
また、This Place社のCEOのヂュサン・ハムリン(Dusan Hamlin)氏はこう語る。
「This Placeは、T-Mobile,Samsonite、Ahold Delhaize、BBCなどのワールドクラスの顧客を持つ。強みは戦略コンサルティング、フロントエンド開発とデザイン。これにインフォテリアのテクノロジー、プラットフォーム、バックエンド開発が融合することで新たなエコシステムを完成できる」(This Place CEO Dusan Hamlin氏)
今回の買収による製品・サービスの正式に本リリースは未定だが、すでにインフォテリアのHandbookの英語圏でのソフトウェアである「Tristan」のUI/UXをThis Placeが手がけるなどの協業が行なわれてきた。「近々、IoT関連で両社のコラボレーションによる新製品を計画している」と平野社長は述べた。