2016年~2021年は年間平均成長率17.0%で成長
国内IoT市場において、2016年の支出額は5兆270億円であり、2016年~2021年の年間平均成長率(CAGR:Compound Annual Growth Rate)17.0%で成長し、2021年の支出額は11兆円に達する見込みだ。IDCでは、こうした国内におけるIoT支出を「ハードウェア」「コネクティビティ」「ソフトウェア」「サービス」という大きく4つの「技術グループ」に分類して予測を行っている。
ITを企業の競争力強化のために積極的に活用するケースが少なかった十数年前においては、IoTの利用用途は、産業機械の状態監視/異常検知といった単純な用途が中心だった。したがって、その当時はハードウェアとコネクティビティといった、IoTに最低限必要な技術グループへの支出額が多くを占めていた。そうした傾向の名残りとして、予測期間の前半ではハードウェアとコネクティビティが市場の半分程度を占めるとIDCではみている。
国内企業の多くがIoTの技術要素に対するに関連する支出を拡大しつつある
そうした中、IDCでは2018年末までに、FORBES Global 2000に含まれる国内企業の3分の1で、デジタルビジネスによる売上成長率が、それ以外の製品やサービスの成長率の2倍以上を達成すると予測している。こうしたデジタルビジネス拡大を実現する上でIoTは非常に重要な技術であり、企業はIoTをこれまで以上に高度に活用していく必要がある。
たとえば、製造業の企業がIoTを活用して従来型の「もの売り」ビジネスから脱却し、デジタルビジネスを創出する上では、IoTクラウドプラットフォームやアナリティクスソフトウェア、およびそれらに付随するさまざまな導入サービス/運用サービスといった技術要素に対する支出を増やしていく必要がある。
こうしたことから、デジタルビジネス拡大とそれに伴う高度IoT活用によって、予測期間の後半では、IoT向けのソフトウェアやサービスといった技術グループへの支出額割合が急速に増加し、2021年には全体の62%に達すると見込まれる。
IDC Japan コミュニケーションズ シニアマーケットアナリストの鳥巣悠太氏は「IoT、高度なアナリティクスやコグニティブ/AIシステムなどの導入/運用を進める上では、導入前にROI(Return On Investment)を見極めることは非常に困難なため、企業はある程度本番運用で活用する過程で費用対効果を見極めるといった考え方が必須になる。また、新しいビジネスモデルのアイデア創出や情報セキュリティへの対策立案なども同様に、試行錯誤を重ねて、要件を段階的に詰めるといった考え方も不可欠である」としている。
こうしたことから「企業の経営者は本番環境でIoT運用する中でそれらを徐々に見極めていく『アジャイル的』な思想が必須になる」と述べている。
今回の発表は、IDCが発行したレポート「国内IoT市場 テクノロジー別予測、2017年~2021年」にその詳細が報告されている。