矢野経済研究所では、第三者保守サービス、EOSL保守サービスとは、ITシステムのハードウェア(サーバ、ストレージ、ルータ・スイッチ等のネットワーク関連機器、PC等)を対象として、製品メーカーではない第三者企業が提供する企業向けのハードウェア保守サービスを指すとしている。
そのうち、対象製品のメーカー保守期間終了(EOSL:End Of Service Life)後に製品メーカーではない第三者企業が提供するITシステムのハードウェア保守サービスをEOSL保守サービスとしている。
2016年度の第三者保守サービス市場は前年度比113.2%の86億円
2016年度の国内第三者保守サービス市場(事業者売上高ベース)は、前年度比113.2%の86億円となった。第三者保守サービス市場が成長している理由は、煩雑なハードウェア保守業務を柔軟な対応が可能な第三者保守サービス事業者に一本化して任せたいというニーズが高まっているためである。
またコスト削減を目的として、第三者保守サービスを利用するユーザー企業も増加している。その他、IT 技術の幅が広がる中で、IT技術者の不足が進んでいるため、一部のITサービス事業者が工程別に専門特化を進めており、保守分野において第三者保守サービス事業者をビジネスの協業先とするケースが出てきている。こうした流れも市場の成長を後押していくと推測する。第三者保守サービス市場(同ベース)は2014年度から2020年度まで年平均成長率(CAGR)8.7%で推移し、2020年度の同市場規模は、112億6千万円に達すると予測する。
EOSL保守サービスはコスト削減、リプレースの延期、環境問題などが成長要因
第三者保守サービスのうち、メーカー保守期間終了(End Of Service Life)後に製品メーカーではない第三者企業が提供するEOSL保守サービスも、コスト削減を目的として大手ユーザー企業の利用が拡大している。EOSL保守サービスであれば、メーカーの保守期間終了後も企業はITシステムを入れ替えなくて済むためである。
また、2020年の東京オリンピック・パラリンピック前、2018~2019年のシステム更改予定に向けて、リプレース時期を延期しているユーザー企業も多く、それがEOSL保守サービスの利用を拡大している。その他にも、環境問題を背景にした「まだ使えるハードウェアを捨てるのはもったいない」という風潮の広がりもEOSL保守サービスの利用を増やしていると考える。
この発表について詳しくは、矢野経済研究所が発行したレポート「第三者保守/EOSL 保守サービス市場の実態と展望 2017」に記載されている。