VRは「スクリーンレス」タイプが市場の62%を占め市場を牽引
VR市場では、スマートフォンをヘッドセットにはめ込む「スクリーンレス」タイプ(SamsungのGear VRやグーグルのDaydream Viewなど)が141万台の出荷を記録したが、これは市場の62.1%に当たり、依然として市場を牽引しているといえる。また、PlayStation VRやHTC Viveなどのケーブル型VRヘッドセットも前年同期に比べ、著しい増加を示している。
「VR市場は依然として初期段階にあり、消費者は慎重な態度を取っている」とIDC Mobile Device Trackersのシニアリサーチアナリストを務めるジテシュ・ウブラニ氏は述べている。同氏は「ヘッドセットは既に市場にあるものやこれから登場するものも含めると十分な選択肢があるといえ、もはやハードウェアは問題ではない。より大きな課題は、多数の視聴者にアピールするようなコンテンツの進化が遅く、クロスプラットフォームのサポート不足に起因する混乱がそれに拍車を掛けていることである」と述べている。
ARヘッドセットはデベロッパー向けの製品が市場に出荷され始めた段階
ARは前年同期比77.4%の成長を示し、新たな製品の出荷が始まると同時に、既存の製品もより多くの国々に出荷されるようになってきている。「大多数のARヘッドセットはデベロッパー向けの製品が市場に出荷され始めた段階であり、市場形成と呼ぶにはあまりにも時期尚早である」とAR/VRおよび各種デバイスのプログラムバイスプレジデントであるトム・マイネリ氏は述べている。「その一方で、多くの消費者がスマートフォンやタブレットなど既存のモバイル機器のカメラや画面を通じて、ARを最初に体験するのではないかと期待している」という。
2017年第1四半期における日本国内のAR/VRヘッドセット出荷台数は合計で5.3万台となり、うちPlayStation VRが4.2万台だった。また、エンタープライズ用途でのGear VRの利用が目立つサムスンは約6千台を出荷した。
「スマートフォンに装着するだけで簡易的なVRが体験できるスクリーンレスタイプが市場を牽引する海外と異なり、日本のVRマーケットを主導しているのはPlayStation VRを擁するソニーである」とIDC Japan PC,携帯端末&クライアントソリューションのシニアマーケットアナリストである菅原啓氏はコメントしている。さらに「PlayStation VRはエコシステムの完成度の点で際立っているが、同時に手軽さの点で勝るスクリーンレスタイプのヘッドセットによるVR体験の裾野がさらに拡大することが期待される」と述べている。
今回の発表は、IDCが発行する「Worldwide Quarterly Augmented and Virtual Reality Headset Tracker」にその詳細が報告されている。また、VRヘッドマウント機器の動向については、「2017年 国内VR機器市場動向:機会損失に苦しむハイエンドモデル市場と国内市場立ち上がりの遅れ」にその詳細が報告されている。