従来、ネットワーク管理者とDevOps担当者の分野は、互いに対立する存在であるとIT市場から見なされてきた。しかし、今回の調査結果では、これらのグループが優先する項目はほとんど等しく、インフラリソースへのアクセスや自動化能力への関心においても一致してきていることが明らかになった。
調査結果と、最近のアプリケーション展開におけるシャドーITのような外部ソリューションを利用しようとするDevOps担当者の傾向を考え合わせれば、ネットワーク管理者がデジタルトランスフォーメーションやマルチクラウド展開を十分に支えるには、さらにスキルが必要とされることが予測できるという。
主な調査結果
・ネットワーク管理者とDevOps担当者は互いの優先項目を尊重
それぞれのグループのうち4分の3以上の人々が、他方のグループが優先する項目がIT内において「適切なもの」であると回答した。これは、両者の間に、より幅広いゴールに対して共通理解が存在し、コラボレーションをさらに高める可能性があることを示している。また、双方のグループがアプリケーションやサービスを提供しているペースもほぼ同様で、展開の頻度については、どちらのグループでも大多数[DevOps担当者(70%)、ネットワーク管理者(74%)]が満足している結果となった。
・自動化のサポート
どちらのグループも、インフラリソースの自動化については重要であるという点で一致しており、重要度を5点満点で評価した場合の平均スコアは、DevOps担当者が4.0、ネットワーク管理者が3.5だった。また回答者は、インフラリソースのアクセスが50%以上自動化されている場合、アプリケーションの信頼性、パフォーマンス、およびセキュリティが、より信頼できるものになると考えていることがわかった。
・インフラリソースへのアクセスに関する意見の相違
インフラリソースへのアクセスをどの程度共有するのが理想的かという質問に対しては、意見の相違が明らかになった。DevOps担当者の45%がインフラリソースの少なくとも75%にアクセスが必要であると考えているのに対し、ネットワーク管理者では31%とこれを大きく下回り、ITでの期待や実務に関して両者の間に部分的に相違点が存在することがわかった。この相違は、企業がデジタルエコノミーで成功を収めるために必要とする、プロセスの合理化やアプリケーション提供に向けた取り組みへの障壁となる可能性がある。
・マルチクラウド展開に関する相違
DevOps担当者の65%は、クラウドソリューション導入にあたり、自動化/セルフサービス機能を通じたアクセス状況に、「非常に」もしくは「ある程度」影響を受けたと認めている。これに関連してネットワーク管理者の相当な割合(44%)は、DevOps担当者による外部クラウドテクノロジーの利用が、インフラリソースへのアクセスを提供しようとする姿勢に「ある程度」影響したと述べ、また21%は「非常に」影響したと回答している。
これによる結果のひとつに、IT環境での複数のクラウドソリューションやプロバイダの利用があり、デジタルトランスフォーメーションを支えるアプリケーション提供、展開、および規模拡大をより複雑なものとしている。
ネットワーク管理者およびDevOps担当者間のITの役割を橋渡しする
調査結果を総合すると、クラウドベースのソリューションの迅速な導入に関わる自動化とセルフサービスに対する関心が高まり、それらが提供する柔軟性が求められていることが明らかになっている。ネットワーク管理者とDevOps担当者は、いずれも新しく登場してきたテクノロジーや手法をインフラリソースの導入することに前向きだ。
しかし、イノベーションのスピードが従来のIT運用チームのスキルレベルを追い越し、将来のアプリケーション展開を合理化するにあたって、そのことが障害となる可能性も存在する。職務に必要なスキルを備えているかという質問に対して、DevOps担当者が示した自信のレベルは5点満点のうち3.6に達し、ネットワーク管理者はこれをわずかに下回る3.4だった。
今回の結果は、これら2つのグループを結集させ、共通のゴールに向けて進めるうえでは、教育がより大きな役割を担うことになるとするF5の考えにも一致している。F5は、この目的のため、企業がアプリケーション提供インフラストラクチャを各関連分野にわたって整備することを支援し、また組織全体のさまざまな職務に共通のフレームワークを提供することを目的とした認定プログラムを提供している。