メインフレームが8四半期ぶりにプラス成長となり、市場を下支え
2017年第2四半期の国内サーバー市場は、2015年第3四半期(7月~9月)以来、7四半期ぶりに出荷額が前年同期比でプラス成長となった。メインフレームが前年同期比で2桁のプラス成長になったことや、x86サーバーが前年同期比でプラス成長したことが、市場全体でのプラス成長に貢献した。
メインフレームが前年同期比でプラス成長となるのは、2015年第2四半期以来、8四半期ぶりのこと。一方、出荷台数は前年同期比でマイナス成長となった。全サーバー出荷台数の約99%を占めるx86サーバーの出荷台数がマイナス成長となったことが要因。
メインフレームは、出荷額が前年同期比19.4%増の214億円だった。前年同期は、2015年第2四半期にあった大型案件の反動で、2桁のマイナス成長だったが、今期は金融向けの大型案件などが貢献し、前年同期比で2桁のプラス成長となった。
x86サーバーは、出荷額が前年同期比1.8増%の733億円。一方、出荷台数では、前年同期比3.4%減の10万7,500台だった。出荷台数がマイナス成長する一方で、出荷額がプラス成長となったのは、x86サーバーの平均単価上昇によるもの。今期は、出荷台数の2~3割を占める1ソケット・タワーサーバーの出荷が減少する一方、同4~5割を占める2ソケット・ラックマウント・サーバーの出荷が好調だった。両者の価格差が平均単価上昇の要因になった。
その他のサーバーは、出荷額が前年同期比39.0%減の66億円、出荷台数が同様に1.1%減の1,072台だった。出荷額の2桁マイナス成長に対し、出荷台数が微減に留まったのは、底堅い更新需要によるとIDCはみている。
IDC Japan エンタープライズインフラストラクチャ リサーチマネージャーの下河邊雅行氏は「メインフレームやx86サーバーの出荷額は、前年同期比でプラス成長であった。その他のサーバーも、出荷台数でみると需要は底堅いとみている。しかし、国内においてもクラウドサービスの台頭は顕著である。更新需要に頼ったサーバービジネスでは、今後、国内サーバー市場は縮小する一方である。ITバイヤーが、自社に最適なコンピュートリソースを選択していく中で、ITベンダーには、システムライフサイクル全体に渡るコストメリットを提示することに加え、ITを活用したニュービジネスを提案するなど、ITバイヤーが得られる様々なベネフィットを訴求していくことが求められている」と述べている。
ベンダー別出荷額は富士通が1位、以下NEC、IBM、HPE、日立の順
ベンダー別の出荷額では、富士通が首位を獲得した。x86サーバーは、前年同期の大口案件の反動などで2桁のマイナス成長だった。一方、金融向け大型案件が貢献し、メインフレームは、2桁のプラス成長、その他のサーバーは、プラス成長だった。2位は、NECでした。前年同期の大型案件の反動で、メインフレームとその他のサーバーは、2桁のマイナス成長であったが、x86サーバーは、プラス成長だった。
3位は、IBM。その他のサーバーは、2桁のマイナス成長だったが、金融向けの大型案件が貢献し、メインフレームは、2桁のプラス成長となった。4位は、日本ヒューレット・パッカード(HPE)。その他のサーバーは、前年同期の大型案件の反動で2桁のマイナス成長だったが、x86サーバーは、ITサービスや通信向けの大口案件などが貢献し、2桁のプラス成長であった。5位は日立製作所。メインフレームは、2桁のプラス成長だったが、x86サーバーとその他のサーバーは、2桁のマイナス成長。その他のサーバーもマイナス成長だった。
注:「x86サーバー」は、x86アーキテクチャのプロセッサーを採用しWindows、Linuxなどオープン系のOSを搭載したサーバー。Itaniumプロセッサーを搭載したサーバーやベンダー独自OSを搭載したサーバーはx86サーバーに含めない。また、「x86サーバー」と「メインフレーム」以外のサーバーを「その他のサーバー」として記載している。
今回の発表は、IDCが発行した「国内サーバー市場 2017年~2021年の予測:2017年第2四半期」にその詳細が掲載されている。