adidasはEinstein Botでカスタマー・サービスを変革
世界中に店舗を構えるadidasにとって、現在もっとも重要な店舗はadidas.comのオンラインショップだ。adidasでは、オンラインショップでさまざまなマーケティングの取り組みを行なうことができる。adidasが思いついたアイデアをすぐに実行するために、同社が選んだeコマースのプラットフォームがSalesforce Commerce Cloudだ。Commerce Cloudは世界中に境界線のない形でやりたいことができ、いつでもどこでも消費者が望むものを提供できるとadidasは評価している。
adidasの象徴であるスリーストライプのウェア姿で登場したのは、SalesforceのProduct Marketing EVP ステファニー・ブシェミ氏。adidasが顧客とつながるためにCommerce Cloudと共に採用しているのが、Salesforce Marketing Cloudだ。これを使って顧客との1対1の関係性を築いている。
「顧客との1対1の関係を築くためにコードを書く必要はありません。どのようなチャネルでも顧客とつながることができ、さらに有意義なキャンペーンを消費者に提供できます。より消費者にとっていみのある情報を提供するには、さらに顧客を理解しなければなりません。顧客のプロファイルを知らないとならないのです」(ブシェミ氏)
顧客をさらに知るために、adidasでは昨年大きな投資を行なっている。Salesforceが買収したデータ・マネージメント・プラットフォームのKurxがベースとなっている「Salesforce DMP」を採用し、これとCRMの連携を図ったのだ。
eコマースプラットフォームであるCommerce Cloudでは、一度サイトを構築すればそれをグローバルに配信できる。その際には、対象とする地域の言語や通貨などにも適宜合わせて自動で内容を変更可能だ。このCommerce Cloudにおいても、EinsteinのPredict Analyticsの機能を活用できるので、顧客の好みに合ったものだけをeコマースサイトに表示できる。Salesforce DMPを活用することで、購買結果だけでなく顧客のライフタイムの行動や嗜好に合わせたレコメンデーションが行えるようになったのだ。
「adidasは、顧客のライフタイム全てにわたるブランドになりたいと考えています。そのために顧客サービスのプラットフォームも、No1のSalesforce Service Cloudを使っています」とブシェミ氏。このService CloudにもEinsteinが組み込まれており、myEinsteinの新たなサービスの1つであるEinstein Botを使えば、カスタマーサービスの世界を大きく変えることができる。
Einstein BotではEinsteinの機械学習機能を活用し、サポートサービスの過去のやり取りを学習してChat Botが人を介さずに顧客サポートを実現する。一旦注文した商品の色を後から変更したり、届け先の住所を変更したりするために、通常はサポートセンターに電話やメールをする。今ならそこでテキストチャットを使う場合もある。このテキストチャットのやり取りを、カスタマーサポートのエージェントではなくEinstein Botに置き換えることができるのだ。
「カスタマーサポートで繰り返し行われる返品や交換のようなプロセスを、Einstein Botを使って自動化できます。あたかも人と会話しているように見えますが、実はBotと会話しているのです。Einstein Botなら商品の送り先を変える、色を変えるといったことが、チャットの会話の中でクリックするだけで実現できます」(ブシェミ氏)
Einsteinは常に進化しており、Botの中でどんどん新しいことができるようになるだろう。ビジネスの中でさまざまなことが自動化できれば、人はもっとクリエイティブなことできるようになるともブシェミ氏は指摘する。
会場にはadidasのCEO カスパー・ローステッド氏も登場し、「ソフトウェアの活用で企業が大きく変わることができる時代だ」と語った。