SAPをAzureでスムースに動かすことをサポートするプロフェッショナル集団
マイクロソフトはAzureを本格的に市場展開するようになってから、オープン化に大きく舵を切っている。「SAPがSAP HANAを提供したことで、マイクロソフトとはSQL Serverで競合する部分もあります。しかしながら、SAPのアプリケーションをAzureで動かすのは顧客も望んでいること。マイクロソフトでは、改めてSAPにフォーカスしています」と言うのは、マイクロソフトコーポレーション グローバルブラックベルトセールス部 テクノロジーソリューションズ プロフェッショナルの家田 恵氏だ。SAP HANAを動かすことに特化したベアメタルサービス (HANA ラージインスタンス) を提供し始めたこともその表れだ。
さらに「SAPのアプリケーションは、企業のシステムの中心的な存在です」と、同じくマイクロソフトコーポレーション グローバルブラックベルト セールス部 テクノロジーソリューションズ プロフェッショナルの池本 仁氏も言う。SAPは企業のシステムの中でもシンボリック的な存在であり、Azureの安全性、信頼性などについても「SAPが動くなら大丈夫だよね」と多くのIT部門の人たちが口にしていると。
こういった背景もあり、SAPのアプリケーションをAzureでスムースに動かすことをサポートする組織をマイクロソフトでは作ったのだ。これは「Global Black Belt」と呼ばれ、(黒帯レベルの)専門家で構成される組織だ。Global Black BeltにはアナリティクスやAI、IoTなど分野に特化したチームがあり、そのうちの一つが家田氏、池本氏が所属するSAP on Azureのチームだ。
SAP on Azureのチームには、世界中に50人を超えるメンバーがいる。全てが「SAPのプロ」で、SAPに関する技術やビジネス経験が10年以上あるメンバーで構成されている。バックグラウンドはさまざま、池本氏のようにSI会社でSAPの導入やSAP周辺ソリューションの開発を長く経験した人もいれば、家田氏のようにコンサルティング会社でSAPソリューションを担当した人などもおり、SAP社から転職してきた人もいる。
現状、SAP ERPのクラウド化を検討している企業は多い。今利用しているSAP ERPは、SAPのサポートの関係から2025年までにS/4HANAに移行する必要があるからだ。そんな中、SAP ERPを動かしているハードウェアの更新時期を迎える企業などでは、ここにきて5年償却のハードウェアを購入するのかに悩んでいるのだ。
またSAP ERPなどを動かすために導入したハードウェアリソースを、じつは使い切っておらずもったいないと感じている企業も多い。SAP ERPを動かす際には、ピーク時の処理負荷に耐えうるハードウェアリソースを用意する。そうなると平均CPU使用率は10%以下となることも多い。そのため「大きくも小さくも柔軟にリソースを調整できるクラウドがいいのではと考える企業があります」と家田氏。
その上でクラウド環境の昨今の性能向上、先行的な企業によるSAPアプリケーションの実績も増えた。であれば我々もやってみるかという動きが出てきているのだ。
「安全らしいけれど安心できないとの感覚が以前はありました。クラウドベンダーがセキュリティの第三者認証を取得するなどで、それは払拭されてきました。また実際にデータセンターでどのような運用をすることで、安全性、信頼性を担保しているかの情報も増え、顧客が安心だと感じるようになっています」(家田氏)