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OSSのデータベースを企業がクラウドで使うために、マイクロソフトが行ったこと

 かつてオープンソース・ソフトウェア(OSS)は、パッケージやソースコードを入手し、オンプレミスの自前環境にセットアップして使うのが当たり前だった。この場合、その環境はインフラとともに自分で責任を持って管理しなければならない。時が経ちクラウドの時代、OSSもパブリッククラウド上で使いたい。当初は、IaaSに自分でOSSをセットアップして利用した。これでハードウェアの管理はなくなったが、相変わらずOSやOSSの管理は必要だった。そこから時はさらに進み、今やさまざまなOSSがPaaSで提供されている。

OSSのデータベースを運用管理の手間なく使えるようにする

 「クラウド上でOSSの製品を使いながらも、エンタープライズレベルのサービスを欲しいのが顧客です」と語るのは、マイクロソフトのAzure DataチームでMySQLやPostgreSQL、MariaDBなどのOSS関連製品を担当するシニア・プログラムマネージャー イアン・エンゲルスバーグ氏だ。OSS製品をオンプレミス環境、あるいはIaaSにセットアップし使っている場合は、共通の課題があると指摘する。

シニア・プログラムマネージャー イアン・エンゲルスバーグ氏
シニア・プログラムマネージャー イアン・エンゲルスバーグ氏

 1つが、OSSのセットアップ作業が面倒なこと。さらにはOSSを動かすための、OSのセットアップも手間だ。またセキュリティの確保もしなければならず、利用しているOSSのバージョンアップやパッチ適用などのメンテナンスも課題となる。本番業務で利用するならば、当然ながら高い可用性も必要だ。もちろん継続的でEnd to Endのセキュリティモニターの仕組みも必要だろう。

 もう1つの課題が、適切な容量のリソースの割り当てだ。これはオンプレミスに比べ柔軟性の高いIaaSであっても、リソースプロビジョニングなどで問題が出ることがある。もちろんオンプレミスではハードウェアを購入するので、余分なリソースをあらかじめ用意するなど問題は大きい。

 また既にオンプレミスで動いているOSSベースのシステムを、クラウドに移行する際にはかなり手間がかかることがある。スムースな移行を求め、エンタープライズレベルのサービスを求める顧客がいる。これら課題を解決するために、マイクロソフトではOSSのリレーショナル・データベースであるMySQL、PostgreSQL、MariaDBをPaaSで提供することにした。それが、Azure Database for MySQL/PostgreSQL/MariaDBだ。

 「これでセキュリティパッチの適用やマイナーバージョンのアップデートも、自動更新となります。ユーザーがそれらの作業を行う必要はありません。セキュリティ関連のパッチは、できるだけ速く当てるようにしています。それ以外のマイナーアップデートは、リリースされてからサービスに支障を来さないかの検証を行い、確認してから適用します。こちらは基本的には1ヶ月に1回のペースで当てることになります」(エンゲルスバーグ氏)

 メジャーバージョンの更新は、公にできるような明確なルールは定まっていないとのこと。とはいえ、なるべく迅速に更新できるようにすると。迅速さは追求するが、当然ながら十分な検証を経た上でのこととなる。

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この記事の著者

谷川 耕一(タニカワ コウイチ)

EnterpriseZine/DB Online チーフキュレーターかつてAI、エキスパートシステムが流行っていたころに、開発エンジニアとしてIT業界に。その後UNIXの専門雑誌の編集者を経て、外資系ソフトウェアベンダーの製品マーケティング、広告、広報などの業務を経験。現在はフリーランスのITジャーナリスト...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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