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クラウド選択の判断材料をいかにして「データ」に持っていくか?―Oracle×Cloudの戦略を読む


 クラウドは、SaaSから始まった。先陣を切ったのは、SalesforceでありNetSuiteだ。双方の会社が生まれる際に、クラウドでは出遅れているOracleの創業者でCTOのラリー・エリソン氏が関わっているのはちょっと興味深い。とはいえ現状、Oracle Fusion Appsがあり、NetSuiteを買収、SaaSではリーダーポジションを確保しているのがOracleだ。一方でAmazon Web Servicesが大きくリードしているのがIaaSであり、その上のPaaSだ。IaaS、PaaSの領域では、データをどう扱うかが鍵となると言うのは、米国Oracle データベース・サーバー技術担当エグゼクティブ・バイスプレジデントのアンドリュー・メンデルソン氏だ。

クラウド上でデータを扱うところではOracleはリードしている

アンディ・メンデルソン氏
アンディ・メンデルソン氏

 メンデルソン氏は「データベースなどをクラウドから提供するサービスは、まだ始まったばかりです。クラウドを選ぶ際に、IaaSのところがベストなのはどこかを考えがちですが、本来はデータを中心に考えなければいでしょう」と言う。これはデータベースベンダーのOracleならではの捉え方だろう。

 デジタル化が進む中で、変革をもたらす重要な要素となっているのがデータであることは周知の事実だ。ビジネスの中核にデータがある。そのデータをどう効率的に扱い、そこから利益を得られるようにするかが、クラウドを主とする次世代のITの大きな目的となる。クラウド上でデータを扱う面においてOracleは、他のベンダーよりもリードしているというのがメンデルソン氏の主張だ。

 Oracleには、既にさまざまなデータを扱えるデータベースがある。さらに、従来のデータに加えグラフデータやスペーシャルデータを扱うことにも注力している。その包括的なデータベースを、クラウド上で大量のデータを容易に扱えるようにするために提供している。このデータベースについては、オンプレミスで性能や機能、拡張性を実証してきたものだ。

 これをクラウドから提供する際に重要なキーワードとなるのが「オートノマス(Autonomous)」だ。Oracle Autonomous Database Serviceは、データセンターで人手を介して運用されているデータベースを自己稼動させるものだ。これでネットワーク管理者もシステム管理者も、さらにデータベース管理者の手間のかかっていた作業もなくすことができる。

 「まったく人手をかけずに、データベースとその下のインフラを動かすことができます。これで、アプリケーションの開発に人手をかけられるようにするのです」(メンデルソン氏)

 オートノマス化したことで、Oracle Autonomous Databaseのサービスにおける可用性は99.995%の稼働率を保証する。これを実現するためにOracle Cloudではオンラインのままセキュリティパッチなどまで当てて止めないサービスを実現している。「ここは他のクラウドとは、大きく異なるところです」とメンデルソン氏。多くのクラウドベンダーがソフトウェアのバグへの対応などでサービスを止めることを例外としてSLAに含めていないが、Oracleの場合はそれを含めて99.995%のSLAを保証する。

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自動チューニング機能でデータベースチューニングの専門家のコストも削減する

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この記事の著者

谷川 耕一(タニカワ コウイチ)

EnterpriseZine/DB Online チーフキュレーターかつてAI、エキスパートシステムが流行っていたころに、開発エンジニアとしてIT業界に。その後UNIXの専門雑誌の編集者を経て、外資系ソフトウェアベンダーの製品マーケティング、広告、広報などの業務を経験。現在はフリーランスのITジャーナリスト...

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