これからはWatsonがますます身近に 次の課題解決に向けてAIのマネージも
最後に三澤氏はIBM Watsonに関する最新情報についても発表した。まずは日本のデータセンターの強化。IBMは9月17日から関東近郊に3つのデータセンターをオープンした。三澤氏は「全く異なる地層に配置しているため、よほど大きな大地震でも耐えられるようにしています。スーパー・ハイアベイラビリティを実現するクラウド基盤が強化されました」と話す。
これからはWatsonがより身近で稼働できるようになる。これまでWatsonのインスタンスはIBMの海外データセンターにあったが、16のうち13のWatsonサービスは日本のデータセンターでも稼働し選択できるようになったという。またWatsonをプライベート環境で利用できる「Watson on ICP」も順次展開しているという。WatsonのAPIをコンテナ化し、オンプレミスのICPにWatsonを乗せることが可能なのだ。このように、ICPを要として、オンプレミスでもパブリッククラウドでも、そしてマルチクラウド環境でも、AIやデータそして企業のアプリケーションを動かすことができる選択肢を提供しようとしているのがIBMのアプローチだ。
現状のAI活用の課題はデータ整備とされているが、次の課題と目されているのが「AIバイアスの極小化」だ。AIの普及につれ、AIが提示した結果についての信頼性、公平性、透明性、説明可能性、倫理性など、「AIバイアス」が問題視されつつある。そこでIBMではAIそのものを管理するために「AI OpenScale」を提供している。これはIBM Cloudライトアカウントでフリーミアム(無料から)利用できる。
IBM CloudライトアカウントはDb2やWatson Studioなど30以上のサービスが利用できるため、スモールスタートで試すには有効だ。なかでも「Db2 on Cloud」は3分でデプロイ完了できるため、これまでオンプレで利用していたなら簡便さに感激するかもしれない。
最後に三澤氏はこう述べて講演を締めた。「今年大きな投資をクラウド事業に行いました。ハイアベイラビリティを実現するパブリッククラウドとしてはナンバーワンのファンクションを提供できるようになってきたと思います。IBMはクラウド、オンプレミスを問わず、皆様のDX実現をお手伝いするためのサービスや製品拡充に力を入れていきたいと思います」