セカンダリ・ストレージのデータ断片化の課題を1つのプラットフォームで解決する
2013年に設立されたCohesityは、「ハイパーコンバージド型統合セカンダリ・ストレージ」のベンダーだ。創業者でCEOのMohit Aron氏は、ハイパーコンバージド・インフラベンダーのNutanixの創業にも携わった人物だ。グローバル企業であるCohesity本体には、ソフトバンクのVision Foundが投資している。今回はソフトバンクと米国Cohesityの2社が投資する形で、日本法人が設立された。同じように本社にVision Foundが投資し、日本法人にはソフトバンクが投資する形の企業には、最近話題の新しいオフィス環境「WeWork」がある。
コンシューマの世界でスマートフォンは、さまざまなデバイスのバラバラな機能を1つにまとめ、そこに統一的なオペレーションを与えたことで成功を収めている。現在は機械学習技術などを取り入れ、音声認識や自動処理などがスマートフォンで使えるようになり、さらに便利な道具へと進化している。また、AppleのAppStoreのように、アプリケーションのマーケットプレイスも用意されており、それを使ってパーソナル化したデバイスにもなっている。
エンタープライズ領域にあるデータを扱うためのストレージも、これまではさまざまなものが存在した。その中でミッションクリティカルな情報を扱うものをプライマリとすると、それ以外にファイルやバックアップ、アーカイブ、テスト環境などセカンダリと呼べるデータの扱いも数多くある。Cohesity Japan 代表取締役 江尾浩昌氏は、「企業のストレージは、プライマリが20%でセカンダリが80%の割合です」と語る。セカンダリのデータを集めると、ペタバイト規模になる企業は珍しくない。
このセカンダリのデータは、企業内のバラバラなストレージに保存されている。ストレージの数は、数10に及ぶこともある。異機種のストレージに格納されていることが多く、結果的にデータはサイロ化している。これが業務を非効率化している。さらにセカンダリのデータは、「ダーク」な状況にあり誰がどのように管理していて、その責任の所在がはっきりしないものも多くコンプライアンスのリスクにもなっていると指摘する。
この状況は、クラウドのストレージを利用する場合もあまり変わらない。部門単位でクラウドストレージのサービスを採用していることもあり、オンプレミスとクラウドでデータが重複していることも多い。クラウドの利用が新たなサイロ化を生むことにもなりかねないのだ。クラウド上で長期的に保存すべきものをどう管理するのか、また保存しているデータへのアクセスをどう確保するのか。クラウドストレージが入ってくれば、むしろセカンダリ・ストレージの領域は複雑化する可能性もある。
この状況をCohesityでは「データ断片化」と呼ぶ。そしてこのセカンダリストレージのデータ断片化の課題を解決するのが同社の製品となる。Cohesityでは、バラバラのデータの扱いを、ソフトウェアで実現される1つのプラットフォームに集約する。それにはダッシュボードが用意されており、さまざまなセカンダリのデータを一元的に管理できる。プラットフォームには機械学習機能も取り入れており、ヘルスチェックを自動で行い、オペレータが行う管理作業を予測し最適な管理をアドバイスする。さらに「Cohesity Marketplace」が用意されており、Cohesityのプラットフォームで動かせるアプリケーションを集め、ユーザーは必要なものをここからダウンロードし、すぐに機能追加して利用できる。
「スマートフォンの原理を、データの断片化の解決に応用しています。それにより、データが企業にとって負債となってものをビジネスにおける資源にします」(江尾氏)
このセカンダリストレージの領域は、他のベンダーがあまり手をつけてこなかったところだ。そしてデータを価値に変えるというところは、Cohesityとソフトバンクで共通のビジョンとなっているところだという。CohesityのDataPlatformはアプライアンス型の背品とクラウド上で利用するソフトウェア型の2つの製品で構成されている。双方の機能は、基本的に同様なものとなる。