エバ・チェンCEOが力説するサイバーセキュリティの極意とは
「(ネットにはびこる)脅威は醜悪で扱いにくい。しかし全体像を理解すれば、脅威はきれいにできます。脅威に備え、対抗し、迅速に復旧すれば、お客様はより多くのことを実行できます」
記者説明会の冒頭、トレンドマイクロ 代表取締役 兼 CEO エバ・チェン氏は「サイバーセキュリティの極意」として、このように力説した。現実を見渡すと多様な脅威が複雑化し、ツールや人材のスキルが不足している企業は苦戦している。トレンドマイクロには長年培ったサイバーセキュリティの知見があり、その強みを各種ソリューションやSOC支援という形で企業の課題解決に応えようと考えている。
背景となる最新動向を確認しておこう。トレンドマイクロの「法人組織におけるセキュリティ実態調査 2018年版」によると、2017年の1年間に、国内法人組織の42.3%がセキュリティインシデントに起因する重大被害を経験していることが明らかになった。なかでも、業種特殊環境(通常の情報系ネットワークではない環境)におけるインシデント発生率は全業種平均で34%、これは3年連続で増加傾向にある。これまでクローズドでセキュリティ対策は不要と思われていた領域にも目を向ける必要が高まってきている。
またトレンドマイクロの監視サービスで生成されるアラートは1組織当たり月平均で約36万件にも上る。その中で、C&Cサーバーとの通信や内部活動など、標的型サイバー攻撃を示唆するアラートは1組織当たり月平均で778件。全体のわずか0.2%でしかない。大量のログやアラートからいかに標的型サイバー攻撃の痕跡を可視化することが課題となっている。