アクセンチュアの目指す地方創生モデルとは
アクセンチュアでは、これまでも全国各地で地方創生に向けた様々な取り組みを進めてきた。たとえば、東日本大震災直後の2011年8月には、会津若松市に拠点を設け、震災復興を目指した産業振興・雇用創出の取り組みに着手。その後、復興支援から地方創生モデル化へ発展し、現在は「アクセンチュア・イノベーションセンター福島」として、積み重ねてきた地方創生モデルをプラットフォーム化し、全国へ広めようとしている。そのために18のスマートシティ関連実証事業の誘致・実装を実現し、知見・データを蓄積してきた。
その集大成とも言えるのが、2015年に開発した市民をはじめ地域に関わるすべての人に利便性を提供する「デジタル・コミュニケーション・プラットフォーム」だ。アクセンチュア 代表取締役社長の江川昌史氏は「ここへきてようやく、地方創生に寄与するプラットフォームとして提供できるところまできた」と語る。
なお、ここでいうアクセンチュアの目指す地方創生モデルとは、既存のものとは大きく異なる。従来は産業の中枢が首都圏に集中し、地方では工場やコールセンターなどの立地が中心だったために、さらなる低コストを追求し海外流出が顕著となり、産業の空洞化を招くことになった。それを首都圏の高付加価値機能の一部を地方へ移転することで次世代を担う産業を地方で育成し、新たな産業を加えて育てる形態に変えようしている。特にアクセンチュアが得意とするデジタル領域を中心に構想を進めてきた。
「そうした取り組みの成果はすべて『デジタル・コミュニケーション・プラットフォーム』に反映し、市民生活に密接に関わる8分野(観光・予防医療・教育・農業・ものづくり・金融・交通・エネルギー)において市民生活に還元させていく。そして、プラットフォーム自体を全国の自治体に広げ、MURC様をはじめとする多くの方々の協力を仰ぎながら地域創生に貢献していきたい」と江川氏は語り、全国展開へ意欲を見せた。
三菱UFJリサーチ&コンサルティング(MURC)もまた、地域が直面する様々な課題の解決に向け、都市計画やまちづくり・土地の利活用、公共施設や住宅の整備・管理等の各種基盤整備に関する調査研究にはじまり、政策決定、戦略構築、施策立案を支援し、官公庁、地方自治体を始め、民間事業者等、様々な事業主体から数多くの調査・事業案件を受託することで地方創生を支援してきた。医療・介護から防災・減災、まちづくりやものづくり、教育・文化との連携、雇用・観光、官民協働など対象範囲も広い。
MURC 代表取締役社長 村林聡氏は、今回の「スマートシティ・プラットフォーム」の共同提案について「これからの地方創生には安全・安心にデジタルを活用するための全国共通的でオープンなプラットフォームが不可欠であり、ソリューションや地域エコシステムまで含めたスマートシティ・モデルの構築が必要となる」と期待を寄せ、「MURCとしては、アクセンチュアの『スマートシティ・プラットフォーム』の機能強化や全国展開における協働とともに、地域の人材育成や個別ソリューションの提案・推進において貢献していきたい」と語った。
具体的には、「地域エコシステム」に対して人材育成や地域連携支援、「個別ソリューション」においては課題定義やデザイン研修、アクセラレータプログラム、そして「スマートシティ・プラットフォーム」については決済基盤や官民データ利活用支援などを提供していく。
「自治体においては、共通プラットフォームを導入することにより、より地域独自の課題解決に向けて集中できるものと確信している。MURCとアクセンチュアそれぞれの強みを合わせた今回の共同提案により、より効果的に地域創生に貢献していけるよう尽力していく」と村林氏は語り、積極的な推進を強調した。