Dell Technologies World 2019の2日目の基調講演は「Innovation to Unlock Your Digital Future」というタイトルで、デジタルトランスフォーメーションを前進させるための近代的なインフラの主役となる、ハードウェア製品が紹介された。Dell Technologiesの強みは、プライベートクラウドを実現する柔軟性と拡張性のあるハイパーコンバージド・インフラから、エッジ側の従業員が日々使うPCに至るまで、幅広いハードウェアのラインナップを揃えているところにある。
クラウドに関するパブリックかプライベートかの議論は終わった

「データは企業の資源でありそれを使って企業はより良い意思決定ができる」―こう話すのは、製品とオペレーションを担当するバイス・チェアマン ジェフ・クラーク氏だ。データを活用すれば、たとえば企業はサプライチェーンの効率を上げることができる。また顧客の未来の要求を予測し、それに対応すべく会社のリソースを最適に配置することに取り組むことができる。
企業は将来の需要に応える必要があり、そのためにITインフラを近代化しなければならない。そしてインフラの近代化のための5つの要素を挙げる。
1つ目は、大量なデータを扱える十分な性能が必要になる。大量な構造化、非構造化データ双方のワークロードを、高速に処理できなければならない。
2つ目の要素がハイブリッドクラウドだ。
「ワークロードが既にパブリッククラウドの上にあるアプリケーションもある。それらも含め、あらゆるところで発生するデータを柔軟に扱えるようにする。そのためにはエッジ、コア、パブリックを共通して管理できるコントロールプレーンもなければならない。パブリックかプライベートかの議論はもう終わりました。クラウドは今、データが発生するエッジにより近いものになります」(クラーク氏)
3つめの近代化の要素が、エッジだ。エッジの領域は2020年までに現状の30%拡大するとも言われており、今もっとも注目されているものだとクラーク氏は主張する。エッジコンピューティングは、単にセンサーなどから発生したデータをフィルタリングしてクラウドに渡すゲートウェイとして働くものではない。ローカルにストレージがあり、そこにAIや機械学習などのインテリジェンスを持ち込み低レイテンシーで処理できる必要がある。
4つめの要素は、さまざまなものがソフトウェア・デファインド型で実現されること。コンピューティングやストレージ、ネットワークもソフトウェア・デファインドにすることで、柔軟性を持ち要求の変化に応じ簡単にアップデートができるようになる。ソフトウェア・デファインドの仕組みには、AIや機械学習のインテリジェンスを入れ込むことで、自動制御できるようにすることも今後は重要になる。
そして5つめの要素が、リテラシーの異なるさまざまな世代の人たちが自由に利用できる、近代的なワークフォース環境の実現だ。すでに1990年代後半から2000年に生まれたが「Z世代」の人たちが、企業で働く時代に突入している。彼らは最初からスマートフォンを使いこなし、電話やメールよりもSNSなどでコミュニケーションをとる。そんな彼らが満足できるようなコラボレーションのやり方を、企業は提供できなければならない。
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谷川 耕一(タニカワ コウイチ)
EnterpriseZine/DB Online チーフキュレーターかつてAI、エキスパートシステムが流行っていたころに、開発エンジニアとしてIT業界に。その後UNIXの専門雑誌の編集者を経て、外資系ソフトウェアベンダーの製品マーケティング、広告、広報などの業務を経験。現在はフリーランスのITジャーナリスト...
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