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みずほ銀行は来店不要、決算書不要の中小企業向けの「みずほスマートビジネスローン」を、AI技術を使いいかにして実現したのか

SAS Forum Japan 2019レポート


 銀行を取り巻くビジネス環境は今、大きく変わりつつある。デジタル技術を活用する新たなプレイヤーも数多く参入し、店舗を持たない銀行なども登場している。こういった時代の変化に対応するために、メガバンクのみずほ銀行では、AI技術などを活用するFinTechにも着手し始めている。その1つの取り組みが「みずほスマートビジネスローン」でのAIを使ったレンディングの取り組みだ。そしてみずほ銀行の新しいサービスの中で、AIを効率的に取り込むために採用されたのがSASのソリューションだった。

窓口来店不要で決算書も必要とせずに迅速な融資をAIで実現

 みずほ銀行は、メガバンクでありどちらかと言えば大手企業の顧客に強味を持っているイメージがある。とはいえ昨今では、中小企業向けのサービスにも力を入れている。中小企業の個客向けの新たなサービスを提供するにあたり、「中小企業の個客の悩みを、金融面から支援しようと考えました」と言うのは、SAS FORUM JAPAN 2019のFinTechに関するセッションに登壇した、株式会社みずほ銀行 リテール法人推進部 新規事業推進チーム 参事役の大向 渉氏だ。

株式会社みずほ銀行 リテール法人推進部 新規事業推進チーム 参事役の大向 渉氏
株式会社みずほ銀行
リテール法人推進部 新規事業推進チーム 参事役
大向 渉氏

 現在、銀行の業務は窓口での対面対応から、ネットへと大きくシフとしている。それに対応すべくみずほ銀行でも、2016年12月からネットでの法人口座開設の受付を開始している。また2018年1月にはキャッシュレス化に対抗するために「みずほビジネスデビット」のサービスを開始し、銀行から企業への情報提供のために「みずほポータル」の提供も2018年5月から行っている。これら新たな施策を進める中で市場のニーズを把握するためにみずほ銀行では、顧客の声を聞くアンケートを行った。その結果からは「金利などの優遇だけではなく、利便性を求める声が多数ありました」と大向氏。

 顧客の声を聞いた結果、利便性を向上させる取り組みことになる。その1つとして新たに提供したのが「みずほスマートビジネスローン」だ。従来の融資では経営者が自ら窓口に赴き、多くの書類を提出しそれらが審査され、融資が受けられるまでにはかなりの時間を要した。この不便さを解消するために、決算書を不要にし、さらに来店せずにオンラインだけで迅速に融資が完結する新たなサービスを提供することにしたのだ。

 みずほスマートビジネスローンは、銀行営業時間にとらわれずに、窓口に来店することなく、資金調達が必要な時にいつでも申し込むことができる。各種情報の登録などの事前準備は、専用のインターネットサイトから完了できる。正式な審査申し込みからは、最短2営業日で融資実行が可能なサービスとなっている。「この取り組みはメガバンクでは初のものです。顧客のネットでの操作は10分ほどで終了し、審査時間は大幅に短縮しています」と大向氏。

 大幅な審査時間の短縮に利用したのが、AI技術だった。決算書の情報なしで顧客のレンディングを行うために、AIを使って顧客企業の信用力を審査する仕組みを構築したのだ。AIでの審査では、決算書以外のさまざまなデータを収集し、信用力の審査を行っている。たとえば飲食店であれば、レストランの口コミサイトの評価データなども連携させ審査する。さまざまな外部データとも連携することで迅速な審査を可能とし、精度を高めて事業性の評価を行う。データの連携は顧客からの同意を前提にしており、銀行がECの情報、クラウド会計情報、評価サイト情報などの各種データを自動で収集する。これにより、中小企業の顧客の資料作成や準備負担の軽減が可能となる。収集したデータは複合的に、AIの審査モデルで評価されることになる。

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適材適所でアライアンスを組んで迅速にAIの仕組みを実装

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この記事の著者

谷川 耕一(タニカワ コウイチ)

EnterpriseZine/DB Online チーフキュレーターかつてAI、エキスパートシステムが流行っていたころに、開発エンジニアとしてIT業界に。その後UNIXの専門雑誌の編集者を経て、外資系ソフトウェアベンダーの製品マーケティング、広告、広報などの業務を経験。現在はフリーランスのITジャーナリスト...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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