OracleはLinuxもAutonomousに
OracleのCTO ラリー・エリソン氏の基調講演は、相変わらず競合に対する攻撃的な話に終始した。今回もAmazon Web Services(AWS)と比較し、Oracle Cloudの優位性を強くアピールした。たとえばAWSを利用していてデータ漏洩の事故が発生すると、AWSはユーザーの設定が悪かったと言う。最適なセキュリティ設定をするのはあくまでも使うユーザーの問題だと言うのが、AWSの立場なのだ。
とはいえ、人が設定を行えばミスは起こるものだ。その人為的なミスからデータ漏洩の事故に発展することが多々ある。これに対してOracle Cloudでは、セキュリティのための設定などを自動で行う。そのため「設定のエラーは起きません」とエリソン氏。Oracleはセキュリティシステムも全て自動化し、そこに人間が関与しない。だから人的エラーが起きる余地がないとエリソン氏は主張し、Oracle CloudとAWSの違いはそこにあると言う。
Oracle Cloudでは、自動化を進めるためにまずAutonomous Databaseのサービスを提供した。とはいえ、脆弱性はデータベースの下にあるOSなどの中にこそ潜んでいる。そこで新たにOracle Autonomous Linuxを提供すると発表した。「LinuxもAutonomousにしました。これは唯一の自立型OSです」とエリソン氏。
Autonomous LinuxはOracle Cloudの上でも、Oracleのアプライアンスの上でも動く。「極めて高い可用性があり、パッチも自動で適用します。オンラインでパッチを当てるので、ダウンタイムもありません。Autonomous Linuxではプロビジョニングもスケーリングもチューニングも自動で行います」と言う。
OracleではLinuxの開発、サポートを1998年から行っており、既に20年間に亘る経験がある。それだけノウハウがあっても、今回のAutonomous Linuxの実現にはかなりの苦労があったとエリソン氏。結果としてできあがったAutonomous Linuxは信頼性とセキュリティ性の高さで、Red Hatを大きくリードするものになっている。しかしながら、Red Hatのアプリケーションは何ら変更することなくAutonomous Linuxの上で動かすことができる。「Red Hatを買収したけれど、IBMではOracle Linuxを使っています」ともエリソン氏は指摘する。このOracle Autonomous Linuxは、無償で提供されることが明らかにされた。