Oracle OpenWorld 2019では、Oracle Database関連の多くの新機能、機能拡張が発表された。Autonomous Data Managementと題し、基調講演を行ったOracle Database Server Technologies エグゼクティブ・バイスプレジデントのアンドリュー・メンデルソン氏は、Oracleは現状で最高のデータベース技術を提供してNo1のデータベースベンダーであり、10年後もそれが変わらないようにしていくと言う。そのためにオンプレミスでこれまで培ってきた技術をクラウドに持っていき、データベースがクラウドで最適に動くようにすることに注力していると。
次期バージョンとなる20cではブロックチェーン・テーブルの機能を搭載
2017年にOracle Database 12c Release2が登場し、2018年にはOracle Database 18cを、そして今年はOracle Database 19cが提供されている。12c Release2では、Autonomous Databaseの実現につながるAutonomous Health Frameworkを提供し、さらにはDatabase In-Memoryの機能を拡張した。またマルチテナント機能の強化にも注力したとメンデルソン氏。続いて18cでは、Microsoft Active Directoryとの統合、Database In-MemoryでKey-Value型データのサポートなどを行っている。
そして最新となる19cでは、IoTデータ向けのストリーミング・インサート機能、自動インデックス機能、Oracle Object StoreやAmazon S3、Azure Blob StorageなどのオブジェクトストアへのSQLアクセス機能、JSON対応の拡張などを行っている。またOracle Active Data Guardも拡張されており、アクティブ・スタンバイ側での更新処理にも対応した。
メンデルソン氏は、Oracle Databaseはマルチモデル・データベースだと言う。他のクラウドベンダーなどでは、構造化データを扱うリレーショナルデータベースがあり、さらにJSONなどのドキュメント型、Key-Value型、グラフ型、空間情報、ファイルなどそれぞれのデータタイプ専用のデータベースが用意されている。つまりさまざまなデータタイプを扱いたければ、必要なデータベースを導入し、それに対し個々にAPIやSQLでアクセスするプログラムを書くことになる。さらに日常的なバックアップやセキュリティの管理も、タイプの異なる複数のデータベースに対し個別に行わなければならない。
一方Oracle Databaseならば、これらすべてのデータタイプを1つのデータベースで扱える。そして度のデータタイプに対しても標準のSQLでアクセスすることができ、その上でOracle Databaseの持っている信頼性や拡張性、セキュリティの高さなどは複数のデータタイプが格納されていても共通のメリットとして享受できる。
さらに、市場にはOracle Databaseに対するさまざまな誤解があるとメンデルソン氏は言う。たとえばOracle Databaseはマイクロサービスなどを活用する新しい世界のアプリケーション開発や運用には向いていないのではとの誤解がある。これに対しては、Oracle Databaseのプラガブル・データベースがクラウドやマイクロサービスにむしろ向いていると反論する。アプリケーションはDockerコンテナの上で開発し、それぞれのマイクロサービスに合わせ完全に分離しポータビリティ性の高いプラガブル・データベースを用意できる。その上でマイクロサービスで実現するアプリケーションに対しても、Oracle Databaseの持つ可用性や拡張性を享受できると言う。
メンデルソン氏は、さらに2020年に登場するOracle Database 20cについてもプレビュー版として紹介した。目玉となる新機能の1つが、ネイティブなブロックチェーン・テーブルの提供だ。これはOracle Databaseの中に新たにブロックチェーン・テーブルを用意し、ブロックチェーンのセキュアな処理をOracle Databaseの中で実行できるものになる。ブロックチェーン・テーブルはOracle Databaseのテーブルとして見えるので、SQLを用いて中身を参照することも可能となるようだ。
もう1つの新機能が、データベースの中に機械学習のアルゴリズムを組み込み、データベースに格納されているデータに対し自動で機械学習のアルゴリズムを適用できるようにする「AutoML」だ。さらにJSONバイナリに対応することで、ドキュメント型データの処理性能の向上も果たしている。また最新ハードウェアである永続性メモリ(Persistent Memory)をデータストアとして活用することで、より低レイテンシなデータへのアクセスも20cでは実現される。