統合化されたサイバーセキュリティ・ソリューションを提供
世界はデジタル化している。日本だけでも何十億ものデバイスがあり「今後は1人あたり20個くらいのデバイスを使うようになるでしょう」と言うのは、アクロニスの創業者でCEOのセルゲイ・ペロウソフ氏だ。デジタルの世界は煩雑で複雑化している。そういった中で多くのデバイスを守り、それらを束ねるエッジコンピューティングや膨大なデータを処理するクラウドなどのコアコンピューティングも守らなければならない。
このとき、手動でこれらを守ろうとしてもなかなか上手くいかない。「セキュリティは自動化された保護により守らなければなりません」とペロウソフ氏は言う。アクロニスではデータ保護を長く続けて来た。次に取り組んだのが、プライバシーの保護だ。また誰がどのデータにアクセスできるかの制御も行う。さらにデータが改変されていないことを担保する技術も提供している。
アクロニスではデータ保護の技術で実現する「Safety(安全性)」、いつでもデータにアクセスできるようにする「Accessibility」、データの信頼性を高める「Privacy」、データが改竄されていないことを証明する「Authenticity(真正性)」、そして脅威に対する保護の「Security」の5つのキーワードで自社のソリューションを表しており、その頭文字をとり「SAPAS」と呼ぶ。
「SAPASを1つのソリューションで保護できるようにしているのが、アクロニスです」とペロウソフ氏。統合することで、ばらばらな技術を導入して対処するよりもTCOは低くなる。これはメインフレームの考え方にも通じる。メインフレームは、集中させて一元化したところで信頼性を担保していた。現状のITの世界はネットワークでつながることで、物理的には分散していても全体は1つのシステムとして捉えられる。それを1つの統合化されたアクロニスのソリューションで守り、信頼性を確保するわけだ。
「重要なのは統合することです。アクロニスではSAPASに統合的に対処します。信頼性を確保するにはパッケージ、ビジネス、UI、管理、製品、技術が統合されていなければなりません。これはiPhoneに全ての機能が統合されているのと同じです。全てが統合されることで、完成されるのです。これにより大きなメリットが生まれます」(ペロウソフ氏)
アクロニスでは、統合化したサイバーセキュリティのプラットフォームを新たに提供し、リアクティブな対応だけでなくプロアクティブな保護も実現する。そのためにAI技術を活用し、未知の脅威にも対応できる。たとえばユーザーの行動を機械学習技術を用い監視し、何か怪しい行動が検知されればそれを通知してユーザーの行動を制限することもできるのだ。
SAPASで対処するための機能が統合化された「Acronis Cyber Infrastructure」は、Amazon Web Services(AWS)やGoogle Cloud、Microsoft Azureの環境にも対応し、エッジ側にもデプロイして利用できる。またサービスプロバイダーのデータセンターでも利用できる。もちろんアクロニスのデータセンターでも利用でき、ペタバイト級のデータを保護できる。
またAcronis Cyber Platformを使うことで、サービスプロバイダーが独自のサイバープロテクションのソリューションを提供できる。パートナーがアクロニスのソリューションをカスタマイズし、自社サービスとして独自のサービスを提供することも可能だ。このときパートナーは、マルチテント型でサービスを提供できるので、コスト効率もリソース効率も向上させられる。
もう1つアクロニスが力を入れているのが、スポーツ領域に対する保護だ。「今や、スポーツがデジタル化されています。それを保護する仕組みをアクロニスでは提供します。アクロニスはスポーツ領域でのデジタル保護に注力する唯一の企業です」とペロウソフ氏。
Acronis Cyber Infrastructureを使いさまざまなスポーツに関わるデータを管理する。スポーツそのものの中でもデジタル化が進み、多くのデータが利用されている。さらにファンサービスや興行をスムースに実施するためにもデジタル化がなされデータ活用は進んでいる。そこではデータの保護が当然必要だ。データを保護する面からさまざまなスポーツに関わる企業をサポートし、それにより新たなビジネスの収益も期待している。