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「まさに長篠の戦い。織田信長のように戦い方を一変させる局面」富士通福田譲×福田康隆のDX対談

  2020/06/19 10:00

 小社の押久保剛統括編集長の声掛けで、SAPジャパン代表から転身し、話題となった富士通株式会社の福田譲 執行役員常務 CIO 兼 CDXO(最高デジタル変革責任者)補佐と、小社刊『THE MODEL』著者であり、ジャパン・クラウド・コンピューティング株式会社、そしてジャパン・クラウド・コンサルティングの福田康隆社長のオンライン対談が実現。日本企業の経営課題とDXの本質について、現場の最前線に立つ福田譲氏に聞いた。

ビジネスがIT化していくからこそ、新天地で自らを役立てたい

福田康隆(以下、康隆氏)実は、ちょっと緊張しています。今回の対談相手である福田譲さんとは、プライベートで以前からお付き合いはありますが、こうした場で仕事の話をするのは初めてだからです。

福田譲(以下、譲氏):言われてみると、確かにそうですね。康隆さんに呼ばれたから来ちゃいましたけど。今回はどういうテーマでしたっけ?

押久保剛:統括編集長の押久保と申します。福田康隆さんは弊社『THE MODEL』の著者でもいらっしゃるのですが、そのご縁で日本やグローバルのDXを考える対談シリーズを展開したいと思い、今回がその初回となります。

『THE MODEL』著者であり、ジャパン・クラウドのパートナーおよびジャパン・クラウド・コンサルティング社長の福田康隆氏(写真左)。富士通 執行役員常務 CIO 兼 CDXO(最高デジタル変革責任者)補佐 福田譲氏(写真右)
『THE MODEL』著者であり、ジャパン・クラウドのパートナーおよびジャパン・クラウド・コンサルティング社長の福田康隆氏(写真左)。富士通 執行役員常務 CIO 兼 CDXO(最高デジタル変革責任者)補佐 福田譲氏(写真右)

譲氏:康隆さんの人気がまた出ちゃうやつですね(笑)。

康隆氏:いえいえ、とんでもないです。以前、私は取材記事これからの日本企業がDXも含めて変わっていくためには外部人材の登用が重要になるという話をしたのですが、福田譲さんはまさにそれを体現されているほうで、最初にお話しをお聞きしたかったのです。

 譲さんは新卒で入社後、外資系IT企業としては異例の生え抜きで社長に抜擢されたSAPから、2020年に富士通へ入社されました。転身に驚く人も多かったと思いますが、外資系から日本企業、そしてCIO兼CDXO補佐という役割に転じる意志決定をした背景を教えてもらえますか?

譲氏:周囲からは確かに驚いたという声を多数いただきました。でも、私からすると自然の流れでした。私が新入社員として入社してから23年で、SAPの規模は約10倍になりました。当初はドイツ企業然としたSAPでしたが、その過程でグローバル企業へと変わっていったのです。

 新入社員で入社した時、私は英語もまともに話せず、目的意識もあまりなく入ってしまいましたが、ERP導入は企業にとってコスト的には重い。必ず経営会議に上がるものです。これを決定するということは、企業内推進者はキャリアをかけているといっても過言ではありません。

 それだけの商材を取り扱うのがSAPですから、会社を変えようという気概を持った方々とたくさんお会いできたのは財産ですね。中にはまったく課題感をもっていない方もいましたが、それ以上にすごいと思う方々にお会いできました。

康隆氏:どのあたりをすごいと思ったのでしょうか?

譲氏:たとえば、あと2年で定年という役員の方が、10年後の自社を考えて、ルールを変えていこうとするんです。単に変えようとリーダーシップをとるだけではありません。日本企業は総論賛成、各論反対の傾向が強いのですが、この各論反対が起きた時に粘り強く調整をし、ゴールに導いていく姿には感動します。私たち外部パートナーも、そういった方を支えなくてはと自然と思いますよ。もちろん、「社長はこう言っているけれど、僕は無理だと思うんですよね」という方も多いですけどね。

 そんな中、SAPで日本法人の社長として約6年が経ったころ、富士通からお誘いをいただきました。タイミングです。SAPがドイツ企業からグローバル企業へ変わっていく様子を経験した自分が、日本企業でお役に立てることがあるのではないか? と思い始めた矢先でした。

康隆氏:海外企業と日本企業の差はどこにあるとお考えですか?

譲氏:戦略的活用に尽きます。日本はITを経営や業務を支える手段としてしか捉えていない。しかし、今は違うのです。ビジネスそのものがIT化していく時代です。この考えをもって経営をするかしないかは、実に大きな違いです。


著者プロフィール

  • 福田 康隆(フクダ ヤスタカ)

    1972年生まれ。早稲田大学卒業後、日本オラクルに入社。2001年に米オラクル本社に出向。2004年、米セールスフォース・ドットコムに転職。翌年、同社日本法人に移り、以後9年間にわたり、日本市場における成長を牽引する。専務執行役員兼シニアバイスプレジデントを務めた後、2014年、マルケト入社と同時に代表取締役社長に、2017年10月同社代表取締役社長 兼 アジア太平洋日本地域担当プレジデントに就任。マルケトがアドビ システムズに買収されたことにより、2019年3月、アドビ システムズ専務執行役員 マルケト事業統括に就任。2020年1月より、ジャパン・クラウドのパートナーおよびジャパン・クラウド・コンサルティング株式会社の代表取締役社長に就任。ハーバード・ビジネススクール General Management Program修了。著書に 『THE MODEL マーケティング・インサイドセールス・営業・カスタマーサクセスの共業プロセス』(翔泳社、2019年)。

  • 中村 祐介(ナカムラ ユウスケ)

    株式会社エヌプラス代表取締役 デジタル領域のビジネス開発とコミュニケーションプランニング、コンサルテーション、メディア開発が専門。クライアントはグローバル企業から自治体まで多岐にわたる。IoTも含むデジタルトランスフォーメーション(DX)分野、スマートシティ関連に詳しい。企業の人事研修などの開発・実施も行うほか、一般社団法人おにぎり協会、一般社団法人日本編集部の代表理事として、日本の食や観光に関する事業プランニングやディレクションも行う。

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連載:全ての会社がテックカンパニーになる時代~福田康隆と探るDX最前線
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