まずは、データマートレスの高速なデータ活用基盤から始める
コロナ禍の影響でデジタル化が進んでおり、多様なデータが使われるようになっている。IoTのセンサーから得られるデータなども今後は活用し、不確定な時代にデータドリブン経営ができるようにしたいとのニーズも増えている。次々と増えるIoTから得られるようなデータすべてを、HANAのインメモリに載せるとなればコストは大きくなるかもしれない。また、直近のデータの利用頻度は高いかもしれないが、古いデータはそれほど利用しない。データがどんどん増える中で、利用頻度が低く古いデータも含めHANAのインメモリに蓄積するのは効率が悪い。
HANAには、データを利用頻度に応じ階層管理する機能がある。高速処理したい直近のデータだけをHANAのインメモリに置き、それ以外のデータはディスクに配置したり、それぞれのデータソースのデータベースや、膨大なデータを安価に格納できる別のデータベースに格納しておく。HANAにないデータは、仮想的に統合されHANAのテーブルにあるように見える。ユーザーからは、HANAのインメモリのデータも他の場所のデータも、シームレスに統合して分析できるのだ。この機能を使えば、外部のSNSのデータやIoTの非構造化データなども、物理的に1ヵ所に集めずとも仮想的に統合して分析にすぐに活用できる。
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とはいえ、まずは既存のシステムから得られるビジネスデータを、データマートレスで高速に扱えるようにするべきだと椛田氏は言う。それを実現してデータ分析を始めれば、さらなる可視化の要求や、深い分析が行いたくなる。そこまでくれば、新たに活用したいデータも明確化してくるはずだ。そのステップを踏まずに、とにかく様々なデータを集めてしまうと、大規模データを溜め込むだけのデータウェアハウスやデータレイクを作ることになりかねないのだ。「慌てることはありません、それぞれの企業のペースでデータを集め、高速に処理できる環境を作れば良いのです。様々なデータを追加し活用することは、後からでも十分間に合います」と椛田氏は言う。
データを可視化し、分析して行動を変える。それができれば、自ずと次のステップで欲しいデータが見えてくる。そのデータを取り込んで高速に分析するテクノロジーは既にSAPが用意している。まずは、SAP HANAでデータマートレスのデータ活用基盤を構築すれば、それぞれの企業の要件に応じアジャイル的にデータを追加し拡張していくことは容易だ。
データマートレスを実感できるキャンペーン
データマートレスの有用性をにわかには信じられないかもしれない。そこでSAPでは、「SAPマートレスチャレンジ」というキャンペーンを展開している。これはクラウド上のSAP HANAを使い、自社のデータウェアハウスのデータなどを取り込んで、データマートレスを実感するプログラムだ。クラウド上のHANAを使うサーバーの導入やデータベース管理者は必要ない。「SQLが使えれば、すぐに利用できるはずです。データマートレスの環境を構築し試すには、恐らく一週間もあれば十分でしょう」と椛田氏。手間がかかる場合はSAPやパートナーの支援も受けられる。
今回は試してみるだけでなく、構築したデータマートレス環境のレポートを応募することで、アワードも実施している。「副賞で豪華景品も用意しており、実際に手を動かすエンジニアにも参加メリットが出るようにしています」と述べる。既にいくつかの企業が、キャンペーンに参加しデータマートレスを体験している。データマートレスが机上のマーケティング的な言葉ではなく、実際にメリットがあることを是非とも実感して欲しいと、椛田氏は改めて強調するのだった。

SAPマートレスチャレンジ開催
- 参加登録受付期間:2020年10月14日(水)~2021年2月28日(日)
- チャレンジ実施期間:2020年10月14日(水)~2021年3月31日(水)
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谷川 耕一(タニカワ コウイチ)
EnterpriseZine/DB Online チーフキュレーターかつてAI、エキスパートシステムが流行っていたころに、開発エンジニアとしてIT業界に。その後UNIXの専門雑誌の編集者を経て、外資系ソフトウェアベンダーの製品マーケティング、広告、広報などの業務を経験。現在はフリーランスのITジャーナリスト...
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