
分析分野の一大トレンド「拡張アナリティクス」ーー分析にAIを組み込むことで分析の自動化を行うもので、「将来的にデータサイエンティストが不要になる」と見る向きもある。SAS Institute Japanが2020年11月にオンラインで開催した「SAS FORUM Japan 2020」では、同社のソリューション統括本部 エンタープライズアナリティクスプラットフォームグループ 担当部長 畝見真氏が、拡張アナリティクスとそのインパクトについて、SASの製品とともに紹介した。
BI分野のホットトピック:拡張アナリティクス
AIが様々な業務や分野に浸透しているが、分析やBIも例外ではない。AIや機械学習が組み込まれた分析、これによって分析を自動化するのが拡張アナリティクスだ。調査会社のガートナー ジャパンは2019年のデータ/アナリティクステクノロジートレンドのトップ1として拡張アナリティクスを挙げている(参照)。
畝見氏は拡張アナリティクスを、「データ活用を民主化する技術」と位置付ける。これまでデータ活用分野は、レポート作成、詳細情報を得るためのドリルダウン、アラートなどBIツールのセルフサービス化と民主化が進んできた。しかし得られる成果は「過去の見える化」に止まっていた。

「厳しい経済情勢を生き残るために、AIやアナリティクスを活用して将来の予測、行動の最適化を行うことが重要になっている」と畝見氏。一方で、AIが使われるようになったのは比較的最近で、扱うことができるのは一部の分析専門家やデータサイエンティストに限られていた。これを民主化するテクノロジーが拡張アナリティクスであり、これによりAIのセルフサービス化や民主化が促進される、と畝見氏は解説する。
なおAI民主化の形として、「ビジネスユーザー自身が効果的な洞察を獲得する」と「現場の分析担当によるAI実用化」の2種類があるという。前者は、一部の専門家でしか活用できなかったAIを各業務部門のユーザーが自身でより容易かつ自律的に活用し、より精度の高い意識決定と迅速なアクションにつなげることを目指すものだが、これまで一部の企業では誤解があったと畝見氏。

つまり、専門家が扱うPythonによるプログラミングやデータ加工などをビジネスユーザーも習得したり、機械学習モデルを自動生成するツールをビジネスユーザーに使ってもらうようにするという動きだ。だが、ビジネスユーザーは課題を解決するための効果的な洞察を必要としているだけであって、モデル開発や高い精度のモデルを必要としているのではない。このような状況に拡張アナリティクスは有用だという。
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末岡 洋子(スエオカ ヨウコ)
フリーランスライター。二児の母。欧州のICT事情に明るく、モバイルのほかオープンソースやデジタル規制動向などもウォッチしている。
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