
DX推進が掲げられようになり、データやデジタル技術の活用は、ビジネスの優位性を確保するための‟手段”から‟前提”へと変化しています。今回、取り上げる書籍は『テクノロジーをもたない会社の攻めのDX』(クロスメディア・パブリッシング、内山悟志 著)です。非IT・非デジタル企業にとってのDXとは何か、実現に向けて必要なものは何かを解説している一冊となります。
-
- Page 1
非IT企業が考えるべきDX
新型コロナウイルス感染症の流行拡大を契機として、DXやデジタル化という言葉が業界・業種を問わずに浸透しています。多くの企業が何かしらの対応策を講じる動きがみられる中で、ITを活用していなかったりテクノロジーをもっていなかったりする非IT・非デジタル企業にとっては、DXが何をもたらすのかつかめないと感じている方も多いのではないでしょうか。
たとえばDXとは何かを考えたとき、「デジタル技術を活用することで競争上の優位性を確立すること」を思い浮かべるかもしれません。確かに、それもDXにおける目的の1つといえます。しかしながら、DXの本質というものは、社会のデジタル化が進展していくにしたがって変化すると著者は指摘しています。
現時点でデータやデジタル技術は手段として位置づけられていますが、今後は前提としてデジタル技術を使用することに変わるといいます。特に社会や経済活動全体が高度にデジタル化され、浸透した世界では、それに適応した企業へと生まれ変わることがDXの本質となっていくのです。
つまり、ビジネスモデル、顧客接点、働き方、意思決定や組織運営の方法などすべてが、デジタルを前提として組み立てられている企業が今後の目指す姿になると本書では述べられています。

では、DXを推進しようとする日本の現状はどうなっているのでしょうか。GAFAをはじめとしたデジタル・ディスラプターの登場によって、これまでデジタルを活用してこなかった業種にも大きな変革の波が訪れている中で、中国をはじめとしたアジアの新興国は経済成長とともにDXを実践して成長を続けています。
しかしながら日本は、高度経済成長期に確立した常識や資産といったものを捨て去ったり、大きく転換したりすることなく平成の30年を過ごしてしまった。そのため、旧来の組織制度や企業風土、老朽化し複雑化した既存システムを捨て去ることができず、重たい荷物を背負ったまま、身軽さが勝敗を左右する新しいルールの戦場で戦いを挑んでいる状態だと著者はいいます。
このような状況において日本企業、特に非IT企業はどのような戦略をもってDXを進めていけばよいのでしょうか。
この記事は参考になりましたか?
- この記事の著者
-
岡本 拓也(編集部)(オカモト タクヤ)
1993年福岡県生まれ。京都外国語大学イタリア語学科卒業。ニュースサイトの編集、システム開発、ライターなどを経験し、2020年株式会社翔泳社に入社。ITリーダー向け専門メディア『EnterpriseZine』の編集・企画・運営に携わる。2023年4月、EnterpriseZine編集長就任。
※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です
この記事は参考になりましたか?
この記事をシェア