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週刊DBオンライン 谷川耕一

Oracle Databaseにブロックチェーン技術を取り込むことで得られるメリットとは

 ブロックチェーン技術を、さまざまなビジネスシーンで活用する動きが出てきている。とはいえ、ブロックチェーンの仕組みを新たに構築し、安定的に運用するのはそう簡単ではない。そのためブロックチェーン技術を活用したければ、クラウドベンダーなどが提供するマネージドサービスを使うのが得策だろう。そのような状況がある中、OracleはOracle Database 21cで、データベースにブロックチェーン機能を追加した。ブロックチェーン機能をデータベースに取り込むとはいったいどういうことなのか、これによりユーザーはどのような価値を享受できるのだろうか。

データベース利用技術にブロックチェーンを取り込むメリット

 Oracleのブロックチェーン機能は「不正な変更が起きないようにする、ユニークなもの」と説明するのは、Oracle Senior Director of Blockchain Product Managementのマーク・ラクミレビッチ氏だ。既にOracle Databaseには透過的暗号化(Oracle Advanced Security)や特権ユーザーの管理(Oracle Database Vault)、データベースのトラフィックを監視し脅威を検出、ブロックするファイアウォール(Oracle Audit Vault and Database Firewall)、データベースの監査(Oracle Database Auditing)などがあり、これらでデータを保護している。ブロックチェーンの機能はこれらに加えて「攻撃者がデータベースに侵入して不正な変更をしないようにするもの」であり、既存の機能に追加するセキュリティ・レイヤとなる。

Oracle Senior Director of Blockchain Product Management マーク・ラクミレビッチ氏

 デロイト社の調査「Global Blockchain Survey 2020」によると、ブロックチェーンが企業における戦略的優先事項のトップ5に2020年も引き続き入っており、調査の回答者86%程がブロックチェーンは有力なビジネスケースを提供するものだと答えている。一方、IDCの2020年の調査レポート「Barriers to Blockchain Adoption in Europe」には、「ブロックチェーンの構築や構成、インフラの維持に関わる技術的な複雑さやコストが障壁となることが多い」とある。つまりは企業にとってブロックチェーン技術の活用が今後の戦略における優先事項となっているが、その実現には技術的な高い障壁があると言うわけだ。

 そのため「ブロックチェーンが使いやすくなる必要があります」とラクミレビッチ氏。アプリケーションの変更は最低限にし、ブロックチェーンのデータの改竄をさせない機能を使いたい。その実現のためにOracleでは、既存のデータベースの中にブロックチェーンの技術を取り込んだ。既にOracleではHyperledger Fabricベースの「Oracle Blockchain Platform Cloud Service」を提供している。さらに仮想化ハイパーバイザーで動くソフトウェア・アプライアンス「Oracle Blockchain Platform Enterprise Edition」もある。これらを使えば、すぐにブロックチェーンの技術が使える環境を用意できる。しかしこれを使うには、既存のアプリケーションに大きく手を入れるか、新たなアプリケーションを開発する必要がある。この手間は、IBMなど他のベンダーが提供するブロックチェーンのマネージドサービスを利用する場合も同様だろう。

 そこでOracleでは、データベースとブロックチェーンを密に統合することにした。これによりブロックチェーンの改竄できないようにする機能を、今までのデータベース技術の延長線上で使えるようにしたのだ。もともとデータベースには、企業にとって重要な情報が保存され管理されている。その情報に対して、不正改竄の予防ができるようにする。既存のデータベースで実施している重要データの管理に、ブロックチェーン機能で不正な改竄からの保護を追加しているので、データの扱いそのものは今までに培ってきたSQLのノウハウで利用できることが大きなメリットだとラクミレビッチ氏は主張する。

次のページ
Oracle Databaseに改竄防止機能を追加しOracle Databaseのノウハウで運用可能

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この記事の著者

谷川 耕一(タニカワ コウイチ)

EnterpriseZine/DB Online チーフキュレーターかつてAI、エキスパートシステムが流行っていたころに、開発エンジニアとしてIT業界に。その後UNIXの専門雑誌の編集者を経て、外資系ソフトウェアベンダーの製品マーケティング、広告、広報などの業務を経験。現在はフリーランスのITジャーナリスト...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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