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GSユアサは自動車用バッテリー販売予測にAI活用し精度向上 アフターマーケット販売予測にDataRobotを導入

edited by Operation Online   2021/04/07 08:00

販売予測の精度は格段に向上、成果を別業務に展開

 さて、効果やいかに。販売予測の精度が高まったかどうか。振り返ると、人間が手動で作成していた時は精度にかなりの変動があった。予測が的確だった時もあり、そうでなかった時もあり。パイロット運用開始後、販売予測の精度は確実に高まったと言える。

 ところが肝心の本番運用開始直後、一時的に精度ががくんと低下してしまった。これは無理もない。本番開始は2020年4月。世界全体が新型コロナウイルス感染拡大に突然襲われた時だ。社会に起きた変化があまりに大きく、過去データからの予想から現実が大きく離れてしまったためだ。とはいえ精度の悪化は手動で予測していた時期の平均値程度に留まり、7月にはこれまでで最高の精度を出すことができた。AIの活用がコロナ禍で生じた混乱を多少なりとも食い止められたと考えてもいいのではないだろうか。以降は「ほぼ高い精度のまま安定しています」と森岡氏は言う。

 改めて販売予測AIの導入効果について森岡氏は「それまでは工場から全国4つある倉庫へと、どの品目をどれだけ送るか細かく振り分ける必要がありました。販売予測AIで細かい部分で精度が高まり、いいバランスで在庫を配置できるようになりました。今後は在庫の最適化へとつなげたいです。あと人手でやっていた工数が減り、楽になりました」と喜んでいる。

 まずまずの成果が得られた。販売予測AIを通じてAI活用を実体験し、二人は達成感を味わっている。濱野氏は「今後も引き続き、販売予測AIの精度向上に取り組みます。この経験を通じてAIが業務の自動化に貢献すると分かりましたので、販売予測以外の別のビジネス課題にも横展開していきたいです」と他の業務への応用を見すえている。具体的なアイデアや構想もすでにある様子だ。

 営業の立場からプロジェクト参加した森岡氏は「プロジェクトに参加する前、AIは人間との会話や自動運転に使うものとイメージしていたので、実際の業務で効果を出すのは難しいのではないかと考えていました。実際にAIが現実の業務課題に役立ち、地に足のついた技術なのだと分かりました」と自身の意識が変化したことを感慨深く語った。

 濱野氏も意識の変化を感じたことについて「2018年当初はデータを集めて活用するとか、AIがどういうものかよく分かっていませんでしたが、データで販売予測の精度を高められることが分かり、技術のすごさを実感しました」と話す。またデータやAI活用するにあたり「どのようなデータを集めておくか、明確化することが大事です」と強調する。

 2年半ほどプロジェクトを経験して、二人はAIの素人から業務改善を成し遂げるまで成長した。濱野氏は「隠れたミッションとして、社内で成功体験を積み上げていくことがありましたので、これが成功体験になったらいいなと思います」と、まだ実感がわかないのか謙虚な様子だ。これから社内でAIを通じて業務改善やDXを進めようとしたとき、二人は頼もしい存在として活躍していきそうだ。



著者プロフィール

  • 加山 恵美(カヤマ エミ)

    EnterpriseZine/Security Online キュレーター フリーランスライター。茨城大学理学部卒。金融機関のシステム子会社でシステムエンジニアを経験した後にIT系のライターとして独立。エンジニア視点で記事を提供していきたい。EnterpriseZine/DB Online の取材・記事も担当しています。 Webサイト:http://emiekayama.net

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