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私、失敗します。アジャイルアプローチで、成功へ反転させるために

edited by DB Online   2021/07/13 12:00

宝の山としての失敗を活かす方法

 では、ここからは(多少の)失敗から回復する方法を述べます。私は仕事柄、オペレーションで、四半期のレビューや月のレビューを、受けることが多くあります。そのときに、特に力を入れるのは、Worked Well(うまくいった点)Did Not Work Well(うまくいかなかった点)です。Worked Wellはうまくいった点は認め、今後も継続する、他のグループにベストプラクティスとして共有する項目です。Worked Wellは褒められてとても気持ちいいですが、私がさらに注力するのはDid Not Work Wellです。実行してみたけどうまくいかなかった点です。なぜなら、ここが宝の山だからです。なお、実施していないことについては、機会やチャレンジとして列挙します。

 Worked WellもDid Not Work Wellも、うまくいった、いかなかったの判断が必要なので、基本はKPIをベースに、そのターゲットに対して100%以上はうまくいった、95%以下(企業によって異なる)はうまくいかなかったと定義します。ここは、客観性が大事です。そして、Did Not Work Wellの項目ごとに、次の四半期や月にどのような修正を加えていくかのプランを作っていきます。それを実施して、また、KPIをチェックしてという繰り返しのアプローチをとるのです。私の欠点は、Worked Wellを少し軽視する部分があり、Did Not Work Wellに気持ちがいきがちなことです。それでは周りのモチベーションが上がらないので、注意はしています。

 もちろん、失敗すると、私も落ち込みますよ。でも、失敗の原因を客観的に探り、その対策を打つことで、落ち込みも軽減できます。その対策がうまくいけば、喜び倍増です!そういった意味でも、成功への執念というか、モチベーションの維持も大事です。人が仕事でパフォーマンスを出すためには、スキルに加えてモチベーションが大事と、シチュエーショナル・リーダシップというトレーニングが教えてくれたのを思い出します。私がマイクロソフトに入ったのは、Windows NTとSQL Serverのビジネスをやりたかったからです。実はこの2つは当時、まったく売れなかったのです。技術的にも未熟でした。最近、Windows 11が発表されましたが、Windows NTの技術が継承されて、花ひらいています。成功への執念ですね。

 ただ、失敗から学ぶためには、組織としては、失敗を許す環境づくりがとても大事になります。失敗が非難されるようでしたら、“石橋を叩いて、渡らない”みたいに、失敗する前に、失敗しそうなことを実行しなくなります。それでは、革新的なことはできません。今、心理的安全性について書かれた書籍『恐れのない組織 心理的安全性が学習・イノベーション・成長をもたらす』(英治出版)を読んでいます。失敗が多いチームほど、パフォーマンスが高いのだそうです。実際は、失敗が報告されるチームほど、パフォーマンスが高いということです。成功するためには、意見をオープンに言う、失敗を許容する組織づくりが重要だと述べています。それが、人の維持にもつながるとのこと。ぜひ、興味があれば読んでみてください。失敗が堂々とオープンに話せ議論できるような環境であれば、オープンな意見も言いやすいのではないでしょう。失敗はチャンスの芽です。でも、その芽が成長する環境づくりも大事だということです。



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著者プロフィール

  • 北川裕康(キタガワヒロヤス)

    クラウドERPベンダーのインフォア(Infor)のマーケティング本部長。33年以上にわたりB2BのITビジネスにかかわり、マイクロソフト、シスコシステムズ、SAS Institute、Workdayなどのグローバル企業で、マーケティング、戦略&オペレーションを担当。その以前は富士通とDECでソフトウェア技術者。マーケティング、テクノロジー、ビジネス戦略、人材育成に興味をもち、日々格闘中。

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