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Adobe Summit 2021レポート

アビームコンサルティングと元CTOが語るデジタルコマース投資動向

 アドビが開催したオンラインセミナー「Best of Adobe Summit BREAKOUTS」では「2021年のデジタルコマース投資」をテーマにアビームコンサルティング 福田氏とUnByte 渡邉氏が語った。2020年のコロナ禍で、流通・小売業界は多くの企業が打撃を受ける一方で、急激な成長を果たした業種もあった。この「二極化」の要因は何か。そして今年後半以降、再成長が期待される市場環境の中で、デジタルを用いてどのような戦略が必要になるか、そのポイントについても問題提起がなされた。後半ではアドビから、リ・ブランドされた「Adobe Commerce」を用いて、直近で成長を果たした企業の事業が紹介された。

二極化を果たした2020年の流通・小売業界

(左より)福田 準二 氏 アビームコンサルティング株式会社
デジタルプロセスビジネスユニット CRMセクター マネージャー
渡邉 信之 氏 株式会社UnByte 代表取締役社長

 渡邉氏は、以前はゴルフ専用ポータルサイト「ゴルフダイジェスト・オンライン」(GDO)のシステム部門や経営戦略部門において一貫した戦略実行に務めてきた人物。現在はUnByteの代表取締役社長を務める一方、フリーランスCIOとして、ITコンサルティング、プロジェクトマネジメント業務、各種戦略立案、事業企画に従事している。

 またアビームコンサルティングの福田氏も、同ファームの中で企業の業務改革、IT化、デジタル戦略の立案から実行までを一貫して提供してきたコンサルタント。対談は、コンサルタントである福田氏がGDO元CTOの渡邊氏に、昨年のコロナ禍以降の、デジタルコマースと投資の動向をどのように見ているかについて意見を聞くところから始まった。

 総務省の調査データによると2018年から2020年の、ネットショッピングの支出額は増大しているが2020年は新型コロナウイルスの影響でトレンドは大きく異なった。渡邊氏は「Go ToトラベルやGo Toイートなどの国の施策の影響はあるが、給付金の影響が大きかった」と指摘。もしも給付金がなければ、Go Toトラベルなどの施策も限定的だったと語る。

 緊急事態宣言発令後2ヶ月程度で国内でのEC世帯の割合が50%を超えた。福田氏は「緊急事態宣言から明らかにトレンドが変わった。特筆すべきはそれまで使っていなかった高齢者がネットショッピングを始めたこと。それまでのECの市場のハードルを超えたといえる」と語る。

 一方で企業側では2020年は非常に厳しく一部業種の中で成長が見られたものの、多くの業種がマイナス成長や需要の減少・消滅にみまわれた。

 スーパーなどでは、前年比プラス3.4%に成長している一方で、アパレルはマイナス16.8%、化粧品(ドラッグストア)はマイナス10.4%、旅行業界はマイナス54.5%、自動車はマイナス8.8%という状況だった。スーパーの売上増加は「個人の行動範囲の制限」によるもの。旅行業界もGo Toキャンペーンによる一時的な効果はあったものの限定的で、インバウンド需要の消滅をカバーすることはできなかった。

 渡邊氏は、「ファッションや化粧品、車といった生活の中で必需ではないと言えるものが厳しい状況にさらされた」と振り返る。福田氏は、この状況下で企業が「マーケティングに対する投資への手控えてしまうこと」が問題だという。

 「マーケティング部門はジレンマを抱えている。昨年からの厳しい状況の中で、短期のリターン結果だけで費用を縮小してしまうと、中長期の成長機会まで奪われてしまうことになりかねない」(福田氏)

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この記事の著者

京部康男 (編集部)(キョウベヤスオ)

ライター兼エディター。翔泳社EnterpriseZineには業務委託として関わる。翔泳社在籍時には各種イベントの立ち上げやメディア、書籍、イベントに関わってきた。現在は、EnterpriseZineをメインにした取材編集活動、フリーランスとして企業のWeb記事作成、企業出版の支援などもおこなっている。 ...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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