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統括編集長インタビュー

「Z AIアカデミアの卒業生から要職を担う人材を」“AI伝道師”野口竜司の新たな挑戦

 急速に社会に普及するAI。AI活用ニーズが高まる一方でAI人材不足も叫ばれる中、ZホールディングスがZ AIアカデミアというAI人材育成のプログラムを発表した。発足の背景や狙いはどこにあるのか。『文系AI人材になる』の著者であり、Z AIアカデミア発起人/幹事の野口竜司氏に話を聞いた。

Z AIアカデミア発足の背景

——はじめにZ AIアカデミア発足の背景について教えてください[※1]。いつぐらいから構想はあったのでしょうか。

 まず大前提の背景としては、Zホールディングス自身が、アジアを代表するAIテックカンパニーになるという宣言を、2021年3月1日の経営統合完了の発表時に行っております。具体的には5年間で5,000人のAI人材を増員するという内容です[※2]。そのような会社全体の目標を達成するために、私たちができることはないかと今年の5月ぐらいから考えはじめました。

Z AIアカデミア 発起人/幹事 野口竜司氏
Z AIアカデミア 発起人/幹事 野口竜司氏(写真は野口氏が提供)

——そもそもZホールディングスでは、Z アカデミアという社内大学のお取り組みがあったと伺っています。

 はい、そうです。Z アカデミアのメンバーとは、交流を続けていて、そもそもZ アカデミアの中でAIについての講師をしてもらえませんか? と個人的に相談を受けていました。そんな中で、AIテックカンパニーになるという宣言の話もあり、ちょっと本格的に組織化しようとなって、Z アカデミア内にZ AIアカデミアという新たな組織を立ち上げることになりました。

——その中で野口さんはどういう役割を担われるのでしょうか。

 言い出しっぺということで、私は発起人 兼 幹事という肩書きでZ AIアカデミア全体の統括を務めます。従来のZOZOテクノロジーズに籍を置きつつ、Zホールディングスへの出向社員として、Zホールディングスにも籍を置きます。

 プレスリリースにも記載がありますように、初期コア企業として、ヤフー、LINE、一休、アスクル、ZOZOグループが主導し、ボードメンバーとしてAI領域の第一線で活躍されている方々と一緒に運営していきます。さらに、Z アカデミア学長で教育のプロフェッショナルでもある伊藤羊一さんにも関わっていただけるので、鬼に金棒です。余談ですが、伊藤さんにこの構想をお伝えしたところ、即決で「一緒にやろう」とおっしゃっていただいて、今回の座組となり感謝しております。

 Z AIアカデミアボードメンバー(プレスリリースより転載)
Z AIアカデミアボードメンバー(プレスリリースより転載)

DXのキーテクノロジーはAIである

——スピーディーに形にするZホールディングスのカルチャーは素晴らしいですね。ところで野口さんの『文系AI人材になる』の出版は2019年12月です。それから約一年半になりますが、AIの活用度合いやAI人材の浸透度を、どう見ていらっしゃいますか?

 確かに本が出版されてから約一年半経ちましたが、当初想定していたほどAI活用は進んでいない印象です。ビジネスパーソンのAI活用はまだまだ道半ばですね。一方で、AIを活用したいと考えている企業や、AI活用を支援する企業、AI関係の団体は増えている印象です。

 まだ一部に限られていますが、機運は確実に高まっていますね。表裏一体で人材不足の問題が浮き彫りになってきていて、AI人材教育・育成の場も整っていない状況だと感じます。

——お話を伺っていて、AIという言葉をDXという言葉に置き換えても、同じような認識や課題を伺う機会が多いです。DXとAIの関係性について、野口さんはどう捉えていますか?

 DXとAIは表裏一体の関係です。私は日本ディープラーニング協会 人材育成委員も務めておりますが、AIの第一人者であり日本ディープラーニング協会の理事長でもある、東大の松尾豊先生も「DXのキーテクノロジーはAIである」と宣言しています。

 ご存知のとおりDXは人や業界によって解釈が様々な状況ですが、ビジネスモデルを革新するといった本質的なDXはAIなしでは不可能というのが、松尾先生や私の考えです。そのためDXを実現したいのならば、その要素としてAIおよびAIを活用できる人材は不可欠だと思います。避けられないですね。

 [※1]Zホールディングス、“文理両軸でAI人材を育成”する「Z AIアカデミア」を発足

 [※2]ZホールディングスとLINEが経営統合、5年で5000億円投じ売上高2兆円企業目指す,日経クロステック

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この記事の著者

押久保 剛(編集部)(オシクボ タケシ)

メディア編集部門 執行役員 / 統括編集長1978年生まれ。立教大学社会学部社会学科を卒業後、2002年に翔泳社へ入社。広告営業、書籍編集・制作を経て、2006年スタートの『MarkeZine(マーケジン)』立ち上げに参画。2011年4月にMarkeZineの3代目編集長、2019年4月よりメディア...

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