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DXの本質は「時間」 ライオンのDXに貢献するフリーランスのデータサイエンティストが目指す世界 【第5回】フリーランス データサイエンティスト 梁木俊冴氏

  2021/10/11 08:00

 DXに欠かせない自社データをどのように活用すればよいのか、多くの企業が試行錯誤を繰り返しながら模索している。その中で外部人材を積極的に登用してデータの利活用、DXを加速させているのがライオン株式会社だ。今回は、同社でフリーランスのデータサイエンティストとして活躍している梁木氏に、社内外での取り組みをはじめ、DX推進におけるデータ活用の勘所などを伺った。

フリーランスのデータサイエンティストとしてライオンに参画

 データドリブン経営やDX推進に本腰をいれる企業が増えている中で、専門人材の希少性はより高まっている。特に、データの利活用は何をするにも欠かすことができず、データサイエンティストをはじめとした人材を喉から手が出るほど欲しいという企業も少なくない。そのような状況下で、なんとフリーランスのデータサイエンティストとして活躍しているのが、梁木俊冴氏だ。

 2018年からフリーランスで活動をしている梁木氏は、2019年からライオンのデータサイエンス室に外部人材として登用されると、現在はDX推進部でその辣腕を振るっている。そんな同氏は、なぜフリーランスのデータサイエンティストとして活動をすることになったのか。そのルーツは、学生時代にさかのぼる。

 高校では、スプライト(超高層雷放電)と呼ばれる放電現象を研究し、この現象の解明にともなう過程でデータの可能性と重要性を知ったという梁木氏。その後、大学で情報学を専攻すると本格的にデータ分析の道へと進むことになる。梁木氏は、「大学在学時に、インターンシップやアルバイトとしてデータ分析を主とする企業に出入りしていました。そこでデータ分析の実務的な経験を積むと同時に、『お客様に喜んでもらえる』という面白さ、やりがいを知ることができましたね」と語る。

 大学での研究だけでは使用することのできない様々なデータを用いた分析ができるだけでなく、仕事として顧客に価値を提供しなければならなかったことが今の土台を形作っているという。その後、大学院在学時にフリーランスのデータサイエンティストとして活動をはじめることになった梁木氏は、「最初はデータ分析会社に就職する道を考えていました。特定の領域を極めるよりは、様々な分野で多様なデータに携わってみたいと考えていたためです。しかし、大学の外で積極的に活動していたため、個人的に案件を相談される機会がありました。勉強、研究(当時は博士課程在学中)、個人案件、メインの仕事の両立をさせた働き方を実現できるのがフリーランスでした」と振り返る。

梁木 俊冴氏

梁木 俊冴(はりき としき)氏
フリーランス データサイエンティスト

2018年に個人事業主としてフリーランスでデータ分析を行う。2019年より、データ分析の専門家としてライオン株式会社研究部門のデータサイエンス室にフリーランスとして参画。2021年1月、同社DX推進部に所属。

 こうしてフリーランスとしての活動を本格化させていくうちに出会ったのが、現在ライオンでDX推進部長を務めている黒川博史氏[※1]だった。このときライオンは、まだデータサイエンス室が始動して間もない状況。当時、データ分析に取り組み始める事業会社は多かったものの、軌道にのせることができた企業は多くはなかった。それだけでなく、梁木氏自身もデータ分析の企業でアルバイトをしていたときに、大きな会社ほど一定のしがらみのようなものが存在し、データの利活用がうまくいっていない実情を目にしていたという。

 しかしながら、コミュニケーションを重ねていくうちに「こうした心配する部分を黒川氏ならば取り払ってくれるのではないか」と考えるようになるなど徐々にその人柄に惹かれていき、ライオンのデータサイエンス室への参画を決めたと梁木氏は述べる。

 ライオンへの参画直後は、同社の得意領域でもある口腔ケアに関するデータ分析という課題を与えられたというが、その際に支給されたのが通常のWindows端末。そのため、まずは分析に適した環境を整えることから始めることになったという。梁木氏は、「最初は、個々人で色々な分析環境を作っていましたが、各自の分析結果を共有できていませんでした。まずは、この課題を解決しないとチームでの分析が進まないと感じたため、分析環境を先に整えるべきだと提案しクラウドを使った分析環境の構築作業を進めました。もちろん、こうした泥臭い部分から取り組まなければならないということは参画前から感じていましたが、それと同時に一定の成果をあげることも必要だと考えていました。チームの分析環境を整えながら、自身の成果を出さなければならない状況は苦労した面もありましたね」と語る。

 最初の半年間は、他社の成功事例などをひたすらに収集し、成功につなげるためのヒントや知見を得ることにも力をいれていたという。また、会社の承認を得なければできない部分などは、黒川氏を含めて協力してくれる社員が頼もしく思えたとも梁木氏は述べる。

 現在は、社内の要求に対して設計を提案。スピードを重視しながら実際に触って動かせるシステムを提供することで、解決や新たな課題を抽出するサイクルを加速できるよう支援しているという。他にも、多くの課題があがってくるなかで、データ分析をどのように活用すれば解決できるのかだけでなく、業務フローの改善などについても貢献できるように提言することもあると語る。

 [※1] ライオン株式会社 DX推進部長 黒川博史氏のインタビュー記事はこちら

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