決勝で6社が語った「壁の突破」と「組織開発」
三菱電機:縦割り組織に変革を
三菱電機FA事業部の上村亜津子さんはSalesforceとの出会いから、導入、定着、活用に至るまでをフェーズごとに課題にそって紹介した。導入から2年を経て、国内外の販売会社・製作所と部門を超えた情報共有、および組織横断のオープンな環境でのナレッジシェアが実現。大企業によくある縦割り組織において、職場を巻き込み、ムーブメントを起こしていく地道で継続的な活動には組織イノベーションの多様なヒントがあふれている。
「私は以前、企業規模や環境などの要因があると組織を変えることなどできないと決めつけていました。ところがSalesforce運用の定着を通して、自らが動くと変わることがたくさんあると気がつきました。私の取り組みは、まさに当社の企業理念である『Changes for the better』に則ったものと思っています」(上村さん)
リプライス:導入1年の劇的ビフォーアフター
名古屋本社をはじめ全国14拠点で「再生住宅事業」を展開するリプライスは、創業25年316億円(2020年度)の年商の企業だ。年間2万件超の査定を実施し、約1500件の買取、販売を行っている。従来、買取から引渡しまでの業務フローの進捗ステータスで、Excelデータを使って管理してきたという。満を持してスタートした途端のシステムエラーとそこからのリカバリー、さらに定着に向けたシステム改良はSalesforceがみんなで作っていくシステムであることを印象付ける。オペレーションサポート課の村中菜都美さんは基幹システムとしての定着促進が経験者ゼロの環境で実現できたことを語った。
「担当してまだ1年。費用をかけずに自分の工夫でどれだけ乗り越えていけるか、標準機能をどれだけ使いこなせるかを考えてきました。1年でここまでできるというのが少しでも伝わればとても嬉しい」(村中さん)
珊瑚建材:挫折から一転、Salesforceで未来を変えろ(第3位受賞)
沖縄・糸満市で地場に根差した建設資材(琉球石灰岩)の加工・販売を主事業とする珊瑚建材。Salesforceは共同事業で使用しただけで解約という状況から一転、アナログ業務や属人性に起因する課題解決に活用していく。取引先情報の集約、重機管理や車両管理などの業務効率化にはじまり、利益拡大や従業員管理にまで、担当の村岡孝明さんは活用領域を拡大してきた。標準機能での幅広い使い方やビジュアライゼーション、Tableau CRMによる分析などが特筆される。
「私がこだわったポイントは、画像や配色を駆使して、いかに見やすく、かつ機能面でも使いやすくするということです。会社のみんなが思わず使いたくなるような工夫を散りばめました」(村岡さん)
ROBOT PAYMENT:データ整理と仕組み化から始まるセールスイネーブルメント
ECサイトやネット通販のオンライン決済代行サービスや請求管理サービスなど売上向上をサポートするROBOT PAYMENT。Salesforce導入から10年を経年しているが、営業組織、データまわりに課題があった。2020年1月にセールスイネーブルメント室を設立。専任Adminの丹羽紗貴子さんはSalesforce上で情報を一元管理し、活動の可視化やプロセスの確立による効率化で課題解決を図った。さらに営業人材の教育・育成にも活用し強い営業組織づくりにチャレンジしている。
「Salesforceの魅力はユーザー同士のつながりが強いことです。私もたくさんのユーザーのみなさんに支えられてきました。会社がセールスイネーブルメント室を導入したことで定着に向けて大きく変わっていった実感があります」(丹羽さん)
インターネットイニシアティブ:Salesforceトランスフォーメーション(準優勝受賞)
日本初の商業インターネットサービスプロバイダ―であるIIJは現在、ネット関連の総合的なサービスをワンストップで展開している。SFAとしてSalesforce導入。活動入力率1%という悲惨なスタートからはじまったものの、1年半という期間で800名の営業や営業支援部門への定着化、さらに営業トランスフォーメーションまでを実現するに至った。継続的に積み上げられた活動の数々と、着実に実績を出していく過程をサービスプロダクト本部 本部長の林賢一郎さんが語る。
「Salesforce導入は、みなさん大きな目標や希望を持って始められると思います。しかし現実には大きな不安や負担があります。弊社も決して平坦な道のりではありませんでした。私たちの取り組みが少しでも皆さんの参考になればと思います」(林さん)