デジタルネイティブ企業から学ぶ
前回、この連載では、どのようなデジタル変革を起こすかについてフレームワークを提示して考えました。今回は、実践ポイントの3つ目として、デジタル変革を生み出すためにどのような仕掛け・仕組みをつくるかについて考えてみたいと思います。
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デジタル変革を生み出すための仕掛け・仕組みをつくる上でデジタルネイティブ企業の取り組みから学ぶスタンスが重要です。商用インターネットサービスが始まってから様々なデジタルネイティブ企業が誕生して来ました。図2の年表の中で一社だけ日本企業がプロットされています。みなさんも利用されたことあるかもしれませんがメルカリです。
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図3は、かつて富士通フォーラムでデジタルトランスフォーメーションについてパネルディスカッションをした時に使用したスライドです。GAFAを代表するデジタルネイティブ企業では、実は先端テクノロジーを活用したサービスの開発だけでなく、企業文化や人事制度などで創意工夫を凝らしています。パネルディスカッションに参加した友人によるとほぼ全ての取り組みをメルカリで実践しているとのことでした。しかし、AmazonやGoogleの仕掛け・仕組みをそのまま取り入れるのではなく、自社流にカスタマイズして導入しているとのことでした。これは我々も見習わなければならないスタンスだと思います。
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デジタル変革を促すためには、デジタル変革を促進する行動様式・考え方を取り入れるだけでなく、デジタル変革を阻害する行動様式・考え方を廃止することも必要です。図4に挙げた例は、その一例です。
例えば、自ら試す事が重要であることは実践のポイントの1つ目でもお話ししましたが、デジタルの世界では実践とテストを重んじる姿勢が重要です。これまでのまずはしっかりとした計画作りから始めるPDCAではなく、いわゆるリーンスタートアップの取り組みです(リーンスタートアップについては、別途記載したいと思います)。
また他人のアイデアに相乗りするような姿勢は日本人の文化として受け入れられない方も多いかと思いますが、他花受粉と言われるように相互に交わりながらより良いアイデアに育てる考え方に転換すべきです。多くの企業にありがちなのですが失敗したら即リングアウトさせるのではなく失敗を奨励する文化の醸成も試行錯誤を前提とするデジタルビジネスでは重要です。Amazonの創業者であるジェフベゾスは、“Amazonは世界で一番失敗を許容する会社だ“と宣言しています。かつてAmazonでスマートフォン(数世代で撤退)を作っていたメンバーが、Echo Showを開発した話は有名です。
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