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DXの「X」が必要な3つの領域:物流・マスカスタマイゼーション・製造業

edited by DB Online   2021/11/10 10:00

 先日、物流メディアのマテリアルフロー様と当社インフォアジャパン社が共催した「2021ロジスティクス DXオンラインセミナー」において、国土交通省 総合政策局物流政策課 阿部竜也様に新しい総合物流政策大綱について講演いただきました。阿部様は、この新しい総合物流政策大綱は、「DXの本質はX(トランスフォーメーション)。とりわけ物流DXこそが重要」とおっしゃっていました。まったくの同感です。ではこの「X」の適用領域とは何でしょうか?

DXの「X」を起こすための3つの領域とは

 DXの定義は曖昧で、氾濫、乱用状態ですが、IDC社が発表した「デジタルトランスフォーメーション動向調査 国内と世界の比較結果を発表」では、DXの進捗を測るための指標(Key Performance Indicator:KPI)が定義されています。これは興味深い指標なので引用します。

 世界の企業の回答率が高く、かつ差のある項目として「標準的な指標(売上、利益、効率性、投資対効果など)(17.0ポイント差)」「カスタマーアドボカシー(13.0ポイント差)」「従業員のアドボカシー(13.3ポイント差)」が挙げられます。うち、「標準的な指標」への回答率の高さは、世界の企業がDXを実装しビジネス的効果を計測している段階に進んでいることを表しています。「カスタマーアドボカシー」や「従業員のアドボカシー」への回答率の高さは、DXという企業全体の改革の影響を、内部および外部環境から計測していると言えます。世界の企業は、「従業員からどれだけ支持されているのか」、「その支持が顧客からの支持にどのように影響しているのか」、そして「それらの支持が売上などにどのように影響しているのか」に対する意識が高いと推察されます。つまり、世界の企業は、企業(ブランド、パーパスなど)や製品/サービスなどに対する「ファンづくりに関する指標」に対して高い意識にあると言えます。
(引用元:IDC「デジタルトランスフォーメーション動向調査」

 DXが進むと、売り上げや利益への影響とともに、従業員や顧客から支持されて、「あの会社いいよ」とか、「うちの会社いけているよ」って、外部に話すようになるのです。これらをDXで目指すのがいいかもしれませんね。

 では、デジタルによって、Xが起きる可能性のある分野はどこでしょうか? おそらく、多くの企業では、そのことを模索している状況だと思います。Xがないデジタル化も大事ですが、それはDigital Optimization(デジタル最適化)になります。

 私の関係するビジネスの近しいところでは、DXが起きる、起こせる領域が3か所は確実にあると思います。それは、1か所は、労働集約型のビジネスや業務で、もう1つは、メーカーのマスカスタマイゼーション(多品種少量生産)、そして、サービタライゼーション(製造業のサービス化)です。今回は、これら3点について解説していきます。

労働集約型分野でのDX

 まずは、労働集約型分野でのDXです。この領域では、上記の物流は、まさにDXが必要とされる労働集約型の産業や仕事になります。倉庫、輸送などで、ほとんどの場合、人に依存したビジネス形態になっており、人工知能やロボティックスを使ったデジタルで、労働集約型から資本集約型にトランスフォームできる高い可能性があります。労働者1人当りの設備投資額、つまり労働の資本装備率(単に資本装備率ともよぶ)の高いものを一般に資本集約型産業とよびます。労働集約型はその反対概念です。資本装備率が高いということは、それだけ機械化が進んでおり、労働生産性も高いことを意味します。このシフトをデジタルでやるということです。

 倉庫は、皆さまも映像で見られたかと思いますが、アマゾンの物流センターがよい例です。完全ロボット化といかないまでも、ロボットを利用して、商品棚を自動運搬しています。ロボットではまだ難しいといわれるピッキング作業も、機械の指示で人間が効率よく作業を行っているはずです。

 物流においては、国内ではトラックが重要な輸送手段ですが、商用のトラックの積載効率は50%を割っており、効率が悪い状況が続いているそうです。さらに、ECの拡大によって、少量多品種の配送が増えており、宅配は再配達率が高いという特徴があり、この積載効率に影響しています。そして、人口の減少、高齢化社会によって、ここでも労働力不足が深刻です。トラック協会によると2020年には、約4割の会社でドライバー不足が起きているそうです。

 ここのDXでは、トラックの高速道路での自動運転や、隊列によって走る後続車無人隊列走行が解決方法の1つともいわれます。未来的ですが、高速道路に限れば、自動運転や後続車無人隊列走行の実装の可能性は高いと思います。私の自動車も、かなりの自動運転レベルです。

 また、ハコベル社の運送マッチングサービスのように、運送会社の非稼働時間や個人ドライバーと荷主のマッチングサービスも積載効率を上げるためには有効な手段です。これは、組み合わせ最適化ですから、機械学習が活用されます。ある制約条件のもと最適な組み合わせをする、最適化はこの後の有力な進化の分野です。このように、物流はきっとDXが活性化する領域だと考えます。

 難しい問題ですが、おそらく労働集約型の軍隊においても、急速にデジタル化が進んでいる、進むと想像します。よく映画でみる攻撃用や偵察用のドローンもそうですし、ロボットの活用もますます増えるのでしょうね。恐ろしい。農業も、規模が大きいと労働集約型から資本集約型に移行できる可能性があります。

 皆様のビジネスで、資本集約型へ変えられる労働集約型の仕事に何があるか探してみてください。


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著者プロフィール

  • 北川裕康(キタガワヒロヤス)

    クラウドERPベンダーのインフォア(Infor)のマーケティング本部長。33年以上にわたりB2BのITビジネスにかかわり、マイクロソフト、シスコシステムズ、SAS Institute、Workdayなどのグローバル企業で、マーケティング、戦略&オペレーションを担当。その以前は富士通とDECでソフトウェア技術者。マーケティング、テクノロジー、ビジネス戦略、人材育成に興味をもち、日々格闘中。

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