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CIOが果たすべき役割

「DXが進まない企業は経営層の理解不足」DX請負人 兼安暁氏が考える“DXに欠かせない人物像”とは

第0回:日本企業におけるDX推進の鍵を握る「CIO」が果たすべき役割

 日本企業のDX推進が高まる一方、様々な課題感を持つ人は多い。その状況下、DXを成功へと導く鍵を握る人物として、トップであるCEOやDXを推進するCDOとともに、CIO(Chief Information Officer)の存在が注目されている。欧米と比べると日本ではまだまだ浸透していないポジションだが、どのような役割を担うべきか、またなぜDXにおいて重視されているのか。12月からスタート予定の連載「CIOが果たすべき役割」の著者であり、あらゆる業界・業種のDX推進の経験を持つ、DN Technology & Innovation株式会社のDXアーキテクト兼安暁氏に話を伺った。

DXの軸は「進化するテクノロジーと経営をどう紐付けるか」

 DXといえば、企業にとって近年最も大きな経営課題の1つといえるだろう。いつの時代もテクノロジーはビジネスを大きく変え、社会を大きく変えてきた。そうしたDXの現場で、兼安氏は小売流通、製造、物流、金融、保険、IT、メディア、ECなどあらゆる産業の、基幹系・事業系をはじめとする様々な案件に携わってきた。CCC(カルチュア・コンビニエンス・クラブ)株式会社が提供する「Tポイント」のシステムを手掛けた立役者としてご存じの方もいるだろう。

 外資系コンサルティング会社からキャリアをスタートし、データサイエンス企業やCCC、CRMベンチャーなど、ビジネスの最前線を歩いてきた兼安氏が、突如として東南アジアに向かったのは東日本大震災後の2011年。ラオスやインドネシアなどを放浪し、事業に乗り出すものの、その成長のエネルギーにあてられて帰国したというユニークな経歴を持つ。

 「向こうはとにかく成長速度がすさまじくて、投資してもどんどん資金が吸い込まれていく。その成長のエネルギーたるや…、日本もこのままではまずいと感じた」と兼安氏は振り返る。そして、帰国後はふたたびコンサルタントとして活動し、FinTechやMaaS、総合商社のDXなどに携わってきた。現在は、2020年に設立したDN Technology & Innovation株式会社にDXアーキテクトとして参画している。

DN Technology & Innovation株式会社 DXアーキテクト 兼安暁氏
DN Technology & Innovation株式会社
DXアーキテクト 兼安暁氏

 そんな兼安氏がDXを推進する上で、常に「テクノロジーが進化していく中で、経営とシステムとの関係がどうあるべきかを紐付けて考えること」を基本的なスタンスとしているという。テクノロジーが日進月歩で進化していく中で、「何をどのように利用して何を変えるのか」という“答え”も刻一刻と変わっていく。それをいかにキャッチアップするか、技術と経営の両面からの判断が問われるというわけだ。

 たとえば、兼安氏が取り組んだTポイントのシステムは、UNIXサーバーからPCサーバーへの変換期、64ビットCPUが今よりも高額だった頃に構築された。当初の見積もりは予算の5倍と高額で、ビジネスとしては採算が取れない。そこでRFPを工夫し、ハードウェアのアーキテクチャまで踏み込んで調整することで、事業的にも成り立てるように設計したと振り返る。

 もちろん、クラウド全盛の現在では同じことをしても意味はないが、どの時代も変わらないのが「現在の経営にとって、どのようなシステムをどのようなテクノロジーで実現すべきなのか」という問いだ。兼安氏は、「その問いに対する答えを見つけるためには、大きいところから鳥瞰的に捉えること、ミクロな視点で積み上げること、その両方を行き来しながら考えるしかない」と語る。

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現在のためではなく、先を読んで生き残るためのDXを

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この記事の著者

伊藤真美(イトウ マミ)

フリーランスのエディター&ライター。もともとは絵本の編集からスタートし、雑誌、企業出版物、PRやプロモーションツールの制作などを経て独立。ビジネスやIT系を中心に、カタログやWebサイト、広報誌まで、メディアを問わずコンテンツディレクションを行っている。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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https://enterprisezine.jp/article/detail/15203 2021/12/01 08:00

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