ビジネス部門が置かれている環境の変化
長らくデフレが続いていた日本では、少子高齢化とあわせてモノが売れなくなっている。消費減退には複数の理由がある。非正規雇用者が増えたために可処分所得が年々減っていること、生活に必要なモノが満たされているので新たな消費につながらないこと、最も新しいモノに反応する若者世代の人口が減っていること、安価な代替品や輸入品が簡単に手に入ること、ECの普及によって競争が激しくなったことなどだ。
たとえば、新商品を出したとする。これまで新商品を卸していた販売店は、かつてのような販売力を持っていないため、EC市場の拡大に反比例するように売上を大幅に落とし、業績が悪化。そこで、減った分の売上をD2C(ダイレクト・トゥ・カスタマー)によるECに求めようとする。ところが、インターネット上では、参入コストが低いために、粗悪品も含めて似たような商品を販売する店舗が既にたくさんあり、新商品が顧客の目に触れにくくなっている。
従来のように店舗での販売が中心だったころには、型落ちした商品が流通することをある程度防げたため、価格が大きく下がることはなかった。しかし、インターネット上にはそうした型落ち商品もそのまま売り続けられるため、新製品という理由だけで高い価格で売れるとは限らない。
たとえば、iPhoneの新製品が話題になりづらくなっているのが良い例だ。既に旧型製品で最低限必要な機能が満たされているような場合には、新製品に飛びつく人は徐々に減っていく。
このように、BtoC企業が儲からないとなると、彼らにサービスを提供しているBtoB企業の売り上げも落ち込むばかりだ。また、彼らもクラウド化の流れによって、低価格化に苦しんでいる。特にデジタルコンテンツやソフトウェア、ECなどのプラットフォームを提供しているBtoB企業は、国際競争に巻き込まれるため、低価格化の圧力はさらに大きい。