ERPなどの基幹システムの導入失敗の原因に「導入目的や改善目標・期待効果を明確に定義し、プロジェクトメンバや関係する社員に開示し共有しなかったこと」が挙げられます。それは向かうべき方向や目標がないがために、導入プロジェクトのメンバがチームとして同じ方向を向いていないことが原因です。ここからは「導入目的や改善目標・期待効果」の策定と共有化の重要性および策定に向けた取り組み方について紹介していきます。
いまだに多いERPシステム導入プロジェクトの失敗事例
ERPなどの基幹システムの導入には膨大なエネルギーが必要です。しかしながら、残念なことに失敗するケースが未だに多く見受けられます。これは基幹システムにとどまらず、比較的規模の大きいシステム導入全てに言える課題です。ERPが広く導入され始めてからすでに10数年以上が経ち、導入ベンダにおいてはたくさんの導入実績と経験があるはずですが、それなのにまだまだ失敗するケースが後を絶ちません。
システム導入失敗の理由として、以下のような理由がよく取り上げられています。
- 製品特性の不十分な理解による不適切なソリューションの策定
- システム導入の目的・目標の不明瞭さ、または不設定
- 不適切な導入スケジュール
- 導入企業でのプロジェクト参加やオーナーシップの欠如
- プロジェクトマネージメントの力量
上記1.については、本連載の第1回「周辺システムとのコラボレーション」で解説しました。今回は上記の2.と3.に関する課題について解説します。また、次回以降、忘れられがちな「運用開始後のシステム維持体制」「データ移行と知識移管(ユーザ教育)」について、導入プロジェクト開始前にきめておくべき事項について説明していきます。
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松本 繁治(マツモト シゲハル)
米国系FA(ファクトリーオートメーション)機器メーカで生産設備の制御および管理システムの構築を手がける。その後、国内コンピュータメーカで販売管理や生産管理のシステム構築を経験。1998年からは外資系ERPベンダ(SAPジャパン)でコンサルタント/プロジェクトマネージャとして約6年間従事。外資系コンサ...
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