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コマツが“設計の意識改革”で挑んだ「なぜか忙しい」状態 製造業の共通課題を解決へ導く「PT DBS」

100年の歴史で積み重ねたノウハウの伝承が課題──設計プロセスの変革へ

 建設・鉱山機械メーカー大手の小松製作所は、2021年に創業100周年を迎え、次の時代を見据えたデジタル・トランスフォーメーション(DX)を成し遂げようと、積極的にICTを活用している。同社が提唱するスマートコンストラクション(SMART CONSTRUCTION)は、ICT建機やIoTデバイス、アプリケーションによって施工工程をデジタルで連携し、施工現場の最適化を目指したものだ。一方、設計現場でのデジタル活用には多くの課題がある。これまで培ってきた技術や知識、ベテラン社員が持つ暗黙知など、デジタル化されていない資産が膨大にあり、それらを次世代に継承することが求められていた。そこで同社では2019年ごろから製造業の設計開発を支援する「PT DBS」を展開するプログレス・テクノロジーズとともにこの課題に挑んでいる。今回は、小松製作所の油圧機器設計プロセスを変革した両社のキーパーソンにその成果と今後の展望を聞いた。

設計業務改革をするにも通常業務が忙しい、しかも忙しさの理由が漠然としていた

(右から)小松製作所 開発本部 油機開発センタ 先行研究グループ GM 名倉忍氏、プログレス・テクノロジーズ 取締役CTO 長友一郎氏
(右から)小松製作所 開発本部 油機開発センタ 先行研究グループ GM 名倉忍氏
プログレス・テクノロジーズ 取締役CTO 長友一郎氏

──小松製作所ではDXに挑み、建設現場の生産性向上に貢献されています。その一方で、社内においては、開発部門の取り組みの一つとして「設計のプロセス改革」を実施されていますが、そこに至るまでには、どのような課題があったのでしょうか。

名倉忍氏(以下、名倉氏):小松製作所(以下、コマツ)における私の部門は油圧ポンプやシリンダー、コントロールバルブなど油圧機器の企画、設計、開発をしています。弊社のデジタル活用について話題にとりあげられることも増えていますが、設計はなかなかデジタル化しにくい部分でもあります。たとえば設計では、これまで積み重ねてきたノウハウが重要となってくるのですが、肝心のノウハウはベテラン技術者の頭のなかにたくさんあり、それを見える化して後世に伝えていかなければならないという課題がありました。

 2021年に100周年を迎えるにあたり、2017年ごろから開発部門の改革に対する機運が高まり、いろいろなプロジェクトが展開されています。その中の一つがプログレス・テクノロジーズ(以下、PT)との「設計プロセス改革」です。団塊の世代といわれるベテラン技術者が退職していくなかで、設計ノウハウの継承に不安を抱いていたのです。

経験豊富な設計者からの技術の伝承に課題を感じていた
経験豊富な設計者からの技術伝承に課題を感じていた
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 最初に油機開発部門でスモールスタートすると、徐々に成果が見えてきましたので、現在では部門全体に展開しているところです。

──プログレス・テクノロジーズとはどのような形で協業することになったのでしょうか。

名倉氏:まずは、設計プロセスにおける課題についてお話ししましょう。設計開発における各部門は、製品要求が複雑化・多様化し、高品質でタイムリーな開発が求められる中で設計者はみんな忙しく、開発の工数が足りないと悩んでいました。その原因は、設計の検討段階における「抜け漏れによる手戻り」などです。設計時に何を検討し、どの情報を参照するのかは暗黙知の部分が大きく、担当者がどれだけ準備をして設計したとしても、ベテラン技術者の設計レビューにおいて足りない部分が見つかり、やり直すことも多かったのです。

 これは、過去の設計ノウハウや不具合の情報が大量にあるなかで、それをうまく集約・活用できる基盤がなかったためです。とはいえ、技術データやドキュメントについては決められた方法で保存していましたので、PT社に協力を仰ぐまでは「なんか忙しいね」と思うだけで、特に疑問を持たず当然のものとして受け入れていたのです。

 そんなとき、付き合いのあったソフトウェアベンダーから紹介をいただきました。その際に、PT社の担当者から「なぜ、その値・その形状なのか設計者が答えられない」「情報はどこかにあるが、人・ファイルサーバー・紙などに点在していて探し出すのに時間がかかる、または見つからない」といった課題が提示されると、そのほとんどに当てはまっていました。

 これら提示された課題を解消していくための手法が「PT DBS」であると知って、これは良いと思ったためすぐに上司に相談して依頼を決定しましたね。

次のページ
設計とはどうあるべきなのかを設計者が理解し、改革マインドにつなげるための、実務データに基づく改善例を提示

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この記事の著者

森 英信(モリ ヒデノブ)

就職情報誌やMac雑誌の編集業務、モバイルコンテンツ制作会社勤務を経て、2005年に編集プロダクション業務やWebシステム開発事業を展開する会社・アンジーを創業。編集プロダクション業務においては、IT・HR関連の事例取材に加え、英語での海外スタートアップ取材などを手がける。独自開発のAI文字起こし・...

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岡本 拓也(編集部)(オカモト タクヤ)

メディア部門 メディア編集部 EnterpriseZine編集を担当

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