どのような価格でどのような内容の保証が提供されるのでしょう?
前回は、Windows Azureの配布形態についての質問にお答えしました。今回は、その次に多い問い合わせ、つまりSLAと価格についてお答えしましょう。
「クラウドを活用するとコスト削減につながりそうだ」という発想から「で、いくらなの?」という質問は至極ごもっともといえます。そして、価格とトレードオフとなるのがSLAと呼ばれるサービスレベルアグリーメントの契約内容です。
初期の頃、AmazonのEC2を利用する際には、SLAの規定がなかったために、たとえハードウェア障害などでサービスが利用できなくなってしまったとしても、使えなかった期間も含めてユーザーは利用料を課金されてしまっていましたが、昨今では、クラウドサービスの商用利用が進んだこともあり、SLAを提示することが一般的になっています。
稼働率99.9%≒年間8時間45分のダウンタイム発生に耐えられるか
ただし、このクラウド流SLAと、日本のSI’erが一般的な商習慣のようにユーザー企業に提供しているSLAの間に大きな開きがあることが問題になる可能性もあります。
例えば、Google社がGmailの有償版をSaaS形式で提供している Google Apps Premiere Edition において、当初99.9%のアップタイムを謳ってはいるものの、その内容をよく読んでみると、10分未満のダウンはダウンタイムと認めない(チョコ停はダウンではないという定義)、ダウンタイムが超過した場合でも、もちろん賠償という形ではなく最大で15日間分のサービスが延長で提供されるにすぎないなど、これまで自社所有のインフラで高いサービスレベルを保ってきた日本のユーザー企業の感覚からすると、即答では受け入れがたい条件になっています。
実際に計算してみると99.9%のアップタイムというのは、年間8時間45分程度のダウンタイムを許容する契約となり、夜間の計画停止などをイメージすると十分なようにも見えますが、実際にビジネスアワーに連続して2時間半にわたってGmailが使えなかったこともあり、電子メールが業務の根幹に組み込まれている企業にとっては厳しい状況といえるでしょう。