CTCのC-Native、リクルートのSENTOでのHashiCorp活用紹介も
続けて伊藤忠テクノソリューションズ(CTC)とリクルートからも発表があった。CTCは2022年4月にHashiCorpとパートナー契約を締結し、自社サービス「C-Native」にHashiCorp製品を組み込んでいる。「C-Native」はクラウドネイティブ技術にフォーカスしたソリューションやサービス提供のブランドとなり、そのなかでKubernetesをベースとした環境のIaCやマルチクラウド管理、加えてセキュリティを確保するためにTerraformやVaultを活用している。CTCがHashiCorpと描くクラウドネイティブ開発のありかたについて、CTCマネージドサービス企画・推進事業部 クラウドネイティブ推進部 部長代行 一万田真久氏が解説した。
リクルートからはAWS基盤におけるTerraform運用について、インフラソリューションユニット SRE部 クラウドグループ 須藤悠氏が解説。同社ではライフスタイル領域とSaaS領域のためにAWSを活用しており、そのAWS基盤 SENTOではIRE(Infrastructure Reliability Engineering)としてID管理やVPC管理など基盤コンポーネントを管理している。またCCoE(Cloud Center of Excellence)としての役割も果たしている。
SENTOでは2017年にCloudFormationを利用開始してみたものの、2018年からOSS版Terraformに移行、運用が軌道に乗るとTerraform Enterpriseへと移行した。CloudFormationではランダムな文字列が付与されたリソースが作られてしまうことが大きなネックで、加えてJSON/YAMLの可読性・保守性の低さ、アカウント横断でリソースを同定する難しさなどがありTerraformへと移行したという。
Terraform Enterpriseを導入したところ、ソースコードレビューにおけるプランの確認が早くできるようになりプラン数は年間940件から1万1,400件となり頻度としては12倍、またアプライ数は年間390件から1,020件で速さは2.6倍となり、大幅な生産性向上が確認できた。導入後にTCO(Total Cost of Ownership:総保有コスト)を計算すると、当初の試算よりもさらに低いことがわかったという。他にも須藤氏は企業におけるTerraform運用で重視すべきポイントについて、TCOをよく考慮すること、改善を続けること、統制がとれるチーム作りなどを挙げている。
IT先進企業たちによるHashicorpの導入事例は、クラウド化によるコスト削減や効率化、システム連携の両立に悩む組織にとって、一つの選択肢になり得るだろう。これらに課題意識を持つ方々は藤原氏が指摘したように、まずは試してみることから始めてはいかがだろうか。
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