AI利用を加速させるSBIグループ 社内育成やグループ企業へのCoE設置が大きな波及効果に
DataRobotとの提携で、地銀におけるデータ利活用も推進

SBIホールディングスは、社長直下に「社長室ビッグデータ担当」という部署を設け、グループ総出でAIの利活用に取り組んでいる。スタート当初はAIやビッグデータといった単語の認知もないような時代で、いろいろと苦労が絶えなかったと言うが、今や保険不正申し込みの予測やコールセンターへの入電予測など、同社の金融業務をしっかりとサポートする成果をあげている。今や全社的な活用を目指すほどAIが浸透した同社の取り組みについて、SBIホールディングス 社長室ビッグデータ担当 次長 佐藤市雄氏、アシスタントマネージャー 橋詰創一郎氏に、背景から詳しく聞いた。
「金融で必ずAIが役立つことを証明したい」という思いが結実
2007年に新卒でSBIホールディングスに入社した佐藤氏は、大学時代のゼミでAIによる経営管理や経営分析を実践し、AIに深い関心と興味を持った人物だったという。しかしながら、いざ新卒で受けた企業面接では、「金融にAIは不要」という意見を多々聞かされ「いつか金融でAIが使えることを証明したい」と思うようになったと振り返る。

次長 佐藤市雄氏
SBIホールディングス入社後は、SBIポイントユニオン(現SBIポイント)の代表を務めるなど厚い信任のもと成果をあげていった。もちろん、AIやビッグデータへの思いが失せることはなく、小会社でも顧客向けのCRMを活用していたという。また、国内初OAuth1.0を利用したリアルタイムポイント交換導入を行うなど積極的にデジタルマーケティングの手法を取り入れている。一方で、小会社だけでデータドリブンな運営をすることに限界を感じ、グループ全体で活用したいとの思いを込め、機会があるごとに上層部にビッグデータの重要性をアピールし続けた。
やがて、そのアピールの効果が2012年に現実となる。ホールディングスの長である北尾吉孝氏より、社長室直轄のビッグデータ担当設立にともないリーダーに指名され、念願だったグループのAI戦略を全面的に任されることになる。ビッグデータ担当はグループ横断の組織で、グループのビッグデータを収集しAIなどによって活用していくことが主眼だ。佐藤氏は、クラウドやBigQueryといったデータ技術の利用など、当時はまだ珍しかったデジタルの手法を気後れせず取り入れ、その中で人員の増強も行っていった。
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森 英信(モリ ヒデノブ)
就職情報誌やMac雑誌の編集業務、モバイルコンテンツ制作会社勤務を経て、2005年に編集プロダクション業務とWebシステム開発事業を展開する会社・アンジーを創業した。編集プロダクション業務では、日本語と英語でのテック関連事例や海外スタートアップのインタビュー、イベントレポートなどの企画・取材・執筆・...
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岡本 拓也(編集部)(オカモト タクヤ)
1993年福岡県生まれ。京都外国語大学イタリア語学科卒業。ニュースサイトの編集、システム開発、ライターなどを経験し、2020年株式会社翔泳社に入社。ITリーダー向け専門メディア『EnterpriseZine』の編集・企画・運営に携わる。2023年4月、EnterpriseZine編集長就任。
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