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北川裕康のエンタープライズIT意見帳

マネージャーフィードバックとパルスサーベイ 外資系企業で学んだ部下と上司の育て方


 私の最近のリーダシップ・フィロソフィーの1つが「Develop Others」で、人がキャリア開発することを支援することに重きを置いております。30歳で人を管理するマネージャーになってから、もうかれこれ27年もマネージャーをやっております。苦い経験も色々ありましたが、今回はその経験から、部下の成長だけでなく、上司の成長にどのように貢献できるかを述べてみたいと思います。

サーベイはダメなマネージャーを追い出すチャンス!?

 マイクロソフトに1993年に入社して、とても驚いた2つの社内の人事施策がありました。それは、マネージャーフィードバックパルス(Pulse)サーベイの実施です。

 マネージャーフィードバックとは、年に一度、テンプレートに沿って、直接の上司のフィードバックを、その上のマネージャーにフィードバックする仕組みです。マネージャーの良いところは伸ばし、改善すべき点は改善してもらうという方法です。

 パルスサーベイは、外部の人事会社が提供しているサービスで、当時は年に1度でしたが、自分の組織のことや、会社や上司の満足度、本社の取締役も含めた会社全体を、詳細なアンケートに回答することによって、点数をつけて「見える化」するものです。測れないものは、改善できないですからね。ある一定以上の部下がいるマネージャーは、その組織のサーベイ結果が自分とマネージャーに公開されるのです。その上位の組織は、下位の組織の結果を含みながら点数化されていきます。それが当時のCEOのビル・ゲイツまで、上がっていくのです。パルスは脈の意味ですが、このサーベイによって、「組織の脈」が正常に動いているかを調べるのです。同じレベルの組織間の比較も調べられます。

 その後務めたCisco、Workdayでも、このパルスサーベイはありましたが、WorkdayはさすがHCMの会社だけあり、さらに進化していました。年に一度のスナップショットの結果では効果がないということで、毎週金曜日に小出しにサーベイが実施され、それを累積して、四半期ごとに評価するのです。

 マイクロソフトでは、口の悪い人(私?)が「年に2回、ダメなマネージャーを追い出すチャンスだ」と冗談で言うくらい、厳しい仕組みでした。マネージャーは、その時期、胃が痛い思いをします。私は、パルスサーベイは、すごく良い時と、すごく悪い時が極端でした。組織の成熟度やメンバーのモチベーションで、結果は随分変わるものです。

 同じようにものに「360度人事評価」があります。これは、上司、部下、同僚、同僚の上司からの評価を得るものです。マネージャーフィードバックと同様に、組織というより、その人にフォーカスが当たったものです。その結果を、部下が対象なら、部下の改善点を、自分が対象なら、自分の改善点をマネージャーと話し合います。

 こうしてリーダとしての能力が評価され、改善の必要がある場合は、改善プランを作り実行していくのです。自分の部下にマネージャーがいる場合は、この仕組みを使った、リーダシップ能力の向上をサポートします。ここで、「リーダシップ能力って何ぞや?」と思われる方も多いと思います。一般的には、人や変革をリードしていく能力ですが、実はグローバル企業では、その企業にとって必要なリーダシップ能力の明確な定義があり、また、身につけられるスキルとして位置づけられています。「もって生まれたもの」ではないので、ご安心を。その定義が明確なので、それに向かってスキルを身につけ、正しい振る舞いをすればいいのです。ただ、「自分を正しく見る」ということはなかなか難しく、また、部下が上司に改善点を言うのは難しいため、この2つの仕組みがあるともいえます。ですから、部下は、率直な評価をする必要があるのです(追い出すなどの邪念は禁物です)。

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上司の育て方・部下の育て方

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この記事の著者

北川裕康(キタガワヒロヤス)

35年以上にわたり B2BのITビジネスにかかわり、マイクロソフト、シスコシステムズ、SAS Institute、Workday、Inforなどのグローバル企業で、マーケティング、戦略&オペレーションなどで執行役員などの要職を歴任。現職は、クラウドERPベンダーのIFSでマーケティングディレクター。...

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