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成功事例から学ぶ『RPA活用ポイント』

全社プロジェクトへの“昇格”が後押し ダイキン工業が年間10万時間の作業を自動化するまで

UiPathで現在、201のRPAプログラムが稼働中 将来的には「市民開発」を5割に


 2017年よりRPAツール「UiPath」を使った業務自動化の取り組みを始めたダイキン工業では、2020年から全社プロジェクトによるRPAの全社展開をスタート。2022年9月時点で201の業務をRPAによって自動化し、年間10万時間の工数削減を達成した。さらに、2023年度末までに「間接業務の工数30%削減」を目指す。

2017年よりRPAを使った業務効率化をスタート

 空調メーカーとして世界トップクラスのシェアを持つダイキン工業。同社は現在、RPAを使った業務効率化の活動を全社規模で展開している。今から遡ること5年前の2017年には早くもRPAの導入に着手。徐々にその適用範囲を広げていった結果、2022年3月時点で年間10万時間の作業自動化を達成したという。

 同社 IT推進部 IT企画担当課長 兼 テクノロジー・イノベーションセンター 主任技師 清木場卓氏は、2017年に初めてRPAの導入検討を始めたきっかけについて次のように語る。

 「私は当時から、先進デジタル技術の調査や実用化検討、実務への適用などを担う『IT創発グループ』という部署に所属していました。その活動の一環として、2017年当時はまだ目新しい技術だったRPAの評価を行うことになりました」(清木場氏)

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ダイキン工業 IT推進部 IT企画担当課長 兼 テクノロジー・イノベーションセンター 主任技師 清木場卓氏

(UiPath提供)

 当時高いシェアを持っていたとあるRPA製品を試験的に導入し、IT部門内の一部の業務に適用してみたところ、思いのほか好感触が得られたという。「これは会社全体の業務効率化に大いに役立つのではないか?」。そう判断した清木場氏らは、早速RPAの全社導入に向けた検討をスタートさせた。

 まずは「RPAで自動化可能な業務の範囲は?」「RPAロボットの開発はどの部門が行うか?」「RPA利用のコストはどの部門が負担するか?」といった、全社利用を前提とした様々なルール作りに着手。同時に、あらためて自社ニーズに最も適したRPA製品を選定し直すことにしたという。

 当初試験的に導入したRPA製品は十分な機能を備えていたものの、ロボットを開発するためにプログラミング作業が必要であり、開発工数がかさんで費用対効果を十分発揮できない恐れがあった。そこでその他の主要なRPA製品を比較検討した結果、最終的に同社が選んだのが「UiPath」だった。

 同製品を選んだ理由について、清木場氏は「試験導入した製品と比べ簡単にロボットを開発できる点、PC画面上の操作対象オブジェクトを高精度で判別できる点、そしてスタンドアロン版からスモールスタートしてサーバ版へと柔軟にスケールアップしていける点などを高く評価しました」と説明する。

次のページ
RPAの活用に熱心な部署とそうでない部署との間に温度差が

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この記事の著者

吉村 哲樹(ヨシムラ テツキ)

早稲田大学政治経済学部卒業後、メーカー系システムインテグレーターにてソフトウェア開発に従事。その後、外資系ソフトウェアベンダーでコンサルタント、IT系Webメディアで編集者を務めた後、現在はフリーライターとして活動中。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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