なぜPostgreSQLは開発者に支持されるのか
──オープンソースのDB市場の中で、PostgreSQLはどのような位置づけでしょうか?
おおまかに言えば、DBの市場は現在、約850億ドルと推定されています。その中で、Oracleをはじめ、マイクロソフト、Sybase、IBMなどの商用DBの市場が50%、残りの50%をオープンソースDBが占め、その中でPostgreSQLがリードしています。
PostgreSQLが台頭してきた理由は大きく2つあります。第1にDBのエンジニアに支持されていること。『Stack Overflow』の7万人への調査によると、デベロッパーの中ではPostgreSQLが「最も愛され」「求められる」という結果です(※)。エンタープライズのアプリケーションも、PostgreSQL上で開発されるものが最も多いのです。
※ 出典元:2022 Developer Survey: https://survey.stackoverflow.co/2022/
第2に、PostgreSQLの技術的な進化です。われわれEDBをはじめ、多くの団体がPostgreSQLを進歩させてきたことで、商用のプロプライエタリなDBに匹敵する性能になりました。EDBはその開発の最前線にいて、世界中のどの企業よりもオープンソースのPostgreSQLプロジェクトに貢献しています。私自身、EDBに参画した2008年以来、14年間ずっとパフォーマンス、拡張性、ユーザビリティ、セキュリティと、Oracleとの互換性の向上に関わっています。
最近では、極めて高い可用性を実現する機能が追加され、従来のデータセンターだけでなく、クラウド上のフルマネージドのデプロイの市場においても、EDBはポジションを確立しています。
他のOSS DBとの棲み分けは?
──他のオープンソースDBとの棲み分けは? またOracleが買収したMySQLとの差異はどうなのでしょうか?
機能特化型のオープンソースDBは数多くありますが、多くは単一の企業がコントロールしています。PostgreSQLは、独立したオープンソースプロジェクトであることです。Linuxも独立したRed Hatによって商用化されていますが、独立したオープンソースプロジェクトです。PostgreSQLではEDB社がその役割を担っているのです。EDBには300人以上のPostgreSQLエキスパートが在籍しています。また、PostgreSQLに貢献している企業の情報のうち、30%以上がEDBからのものです。
独立したオープンソースプロジェクトであることの条件は何かというと、単一の企業ではなく、コミュニティによって運営されているということです。一方、MongoDBは、MongoDB社、RedisはRedis Labsの1社が開発・運営を行っています。こうしたDBはそれぞれの専門機能に特化しており興味深いものですが、PostgreSQLはそれらと競合するものではありません。エンタープライズの広範なアプリケーションやワークロードで利用されています。アナリティクスでも利用されていますが、いわゆるSoE(Systems of Engagement)や、バックエンドDB型のWebサイトに幅広く用いられています。汎用性が、デベロッパーに訴求しているといえます。
MySQLはOracleに買収される前は、独立したオープンソースプロジェクトで、PostgreSQLと比較されていましたが、どちらかといえば軽量でシンプルなDBといえ、堅牢なエンタープライズのアプリケーションのためのPostgreSQLとは競合しないと考えています。