リスク対策は「時間との勝負」 グローバルで統一したセキュリティ対策を講じるアステラス製薬の決意
部門や業界の垣根を超えて協力体制を築く同社、その真意を情報システム部長 須田真也氏が語る

アステラス製薬はDXを推進する中で、膨大なデータの利活用や多様化する業務環境の安全性を担保するため、セキュリティ対策の強化に取り組んでいる。「Security Online Day 2022」の講演「『守りのDX』は『攻めのDX』推進のため。アステラス製薬のグローバルなサイバーセキュリティの取り組み」で、同社情報システム部長の須田真也氏がその内容を紹介した。
製薬DXに取り組むアステラス製薬が重視すること
医療用医薬品の研究開発、製造および販売を中心に、世界70ヵ国以上で事業展開するグローバル企業のアステラス製薬。同社は現在、2021年度から2025年度にかけての経営目標を定めた「経営計画2021」の実現に向けて、多様な取り組みを実施している。DXを通じて科学の進歩を患者の価値に変えるというビジョンの下、推し進めている「Digital Ambition in 2025」もそのひとつだ。
DXを推進する上で重要な要素となるのがデータ。「製薬業界は、いまや情報産業といっても過言ではない」と断言するアステラス製薬 情報システム部長の須田真也氏は、製薬業界では創薬・開発・製造・販売・ライフサイクルマネジメントのバリューチェーン全体で膨大なデータを扱っており、データを活用しない業務領域はもはや存在しないのではないかと述べる。

そうしたデータを安心して共有、活用しながら患者の価値に変えていく“攻めのDX”を進めるには、セキュリティ対策が最重要課題となる。
須田氏は、情報セキュリティ対策の3要素(技術的対策・物理的対策・人的対策)と情報セキュリティの6要素(真正性・責任追跡性・信頼性・機密性・完全性・可用性)を紹介し、製薬業界で想定されるリスクを列挙した。たとえば、機密性が損なわれる例として、技術情報が外部に漏えいするリスクを紹介。「偽物の医薬品が製造・販売されるリスクがある。自身の健康に被害を受ける患者にとっても、信頼をおとしめられる業界にとっても、大きな不利益となる」と説明した。
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谷崎 朋子(タニザキ トモコ)
エンタープライズIT向け雑誌の編集を経てフリーランスに。IT系ニュースサイトを中心に記事を執筆。セキュリティ、DevOpsあたりが最近は多めですが、基本は雑食。テクノロジーを楽しいエクスペリエンスに変えるような話が好きです。
※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です
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