データシェアリング機能があったから実現できたStore360
Tangerineは「リアルから始まる新しい感動とビジネスを創る」をミッションに掲げ、場所に付加価値を提供するビジネスを展開している。具体的にはリアル店舗を運営しているような小売企業向けに、データを活用してビジネスに新たな価値を生み出すことをサポートしている。
ECサイトであれば、さまざまなデジタルデータを取得し、それらを分析した結果得られる知見を用い、顧客体験を向上させることは当たり前だ。このECと同じことをリアル店舗でも実現するものが、Tangerineが提供する「Store360」というサービスだ。IoTセンサーや人流、POSデータなどを組み合わせ、リアル店舗でも顧客により良い体験を提供できるようにする。
従来、リアル店舗で取得できるのはPOSデータなどが主であり、購買情報など得られるデータも限定的。特に店舗では顧客行動などを把握できないため、タイムリーで最適化された顧客対応を実践するには難しいものがあった。しかしながら今では、リアル店舗でもさまざまなデータが取得できる。Store360はそれらを集め可視化し、広告配信や公式アプリケーション、マーケティングオートメーション・ツールなどとつなげることで顧客体験の向上を図れるサービスだ。
Store360で活用するデータには、IoTセンサーなどで直接収集するものもあれば、天候や携帯キャリアなどが提供する人流などさまざまな情報がある。これらのデータを融合する際に活用しているのが「Snowflake」のデータシェアリング機能だ。
Tangerineが創業したのは2013年、当初はビーコンなどを用い店舗前の人流を計測したり、アプリケーション会員の来店を検知したりして、会員にリアルタイムに情報発信するソリューションを展開してきた。2021年にCOOの島田 崇史氏が同社に入社した際、従来のTangerineのサービスアーキテクチャを刷新する。
島田氏は、前職時代からSnowflakeの利用経験があり、データシェアリング機能を使えば新たな価値が提供できると考えた。Tangerineには、小売店舗でデータ活用を行うための独自データモデルはあり、それをより活用するためには「自社の仕組みで得られるデータだけでなく、他社データも含めて活用し、小売企業が実現したい要件に寄り添える構築負荷の低い仕組みが必要なのです」と言う。
さまざまなデータのインプットを容易にし、どこからでも安全にデータを取得できるようにしたい。そこで行き着いたのは、Snowflakeのデータシェアリング機能の活用だ。これにより、店舗ごとにスクラッチでデータを取り込む必要がなくなっただけでなく、さまざまなデータを融合して活用し、新たな価値を生み出すStore360が実現できた。