Snowflakeを前提としたサービス設計、データコラボレーションを体現するTangerineの試み
データシェアリング機能を活用し、小売りにおけるデータサイエンスの民主化を加速
データコラボレーションとAIを活用、需要予測にも挑戦へ
「Snowflakeはマルチクラウドでデータ流通ができ、さらに圧縮でデータ量の削減、秒単位の課金で使った分だけのコストで済む点が高く評価できます」と島田氏は言う。既にSnowflakeのマーケットプレイスでは天候、暦などさまざまなデータが公開されている。データコラボレーションの実証実験として、たとえばドコモの商圏データ、OPTEXの来店データ、スマレジのPOSデータにTangerineの店頭流量データを加え、Store360を用い商圏、店頭流量、来店客数、来店率、購買率などをSnowflake上で組み合わせ、BIツールで分析している例がある。この取り組みによる新たなデータ活用では、期待を超える成果が出ていると島田氏は言う。

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「Snowflakeは、自動的に最適なリソース調整を実現するサーバレスの仕組みや、外部ストレージを外部テーブルとして扱うことでデータパイプライン構築を不要にする考えなど、管理するものをどんどん減らしてくれるためデータエンジニアの運用リソースはかなり下がり、価値を生み出すデータ分析基盤構築に多くの時間を割けるようになります」と島田氏。Snowflake単体ではできないデータクレンジングなどは、外部ツールと連携させることで実現できる。そのためのエコシステムも整備されており、必要なものはすぐに手に入る。その上で「データコラボレーションが徐々に増えており、ここも期待以上のものがあります」と言う。またデータが簡単に共有できるだけでなく、必要なものだけを選択できるなど安全性の高さも島田氏は評価する。
Tangerineでは今後、小売店舗で求められる需要予測にも挑戦していく。既にSnowflakeのAI、機械学習技術を用いフォーキャスト機能の開発も行っており次期Store360のリリースに追加される予定だ。このようなサービスの進化で「さらにデータサイエンス領域の民主化を強めていきたいと考えています。それをエコシステムの中で、Snowflakeと一緒に実現していきたいです」と島田氏。既にフォーキャスト機能のPoCでは、データコラボレーションによるAIモデルを構築し来店客数の平均予測精度が98%まで達成されているとのことだ。
Snowflakeは、高性能なデータウェアハウスとして捉えるだけでなく、マーケットプレイスなどでデータの価値を最大化するところにこそ優位性がある。この「データの価値を最大化すること」は、Tangerineの目指す方向性とも一致している。その点を今回評価されアワードを獲得できたことは「素直に嬉しい」と島田氏は言うのだった。
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谷川 耕一(タニカワ コウイチ)
EnterpriseZine/DB Online チーフキュレーターかつてAI、エキスパートシステムが流行っていたころに、開発エンジニアとしてIT業界に。その後UNIXの専門雑誌の編集者を経て、外資系ソフトウェアベンダーの製品マーケティング、広告、広報などの業務を経験。現在はフリーランスのITジャーナリスト...
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