独自のデジタル戦略「NBX」を進行中
日清食品ホールディングスはグループを挙げてデジタル活用を推進しているが、あえて「DX」という言葉は使わずに「NBX(NISSIN Business Transformation)」という独自の用語を用いて、デジタル化だけに留まらない「ビジネスモデル全体の変革」を目指した活動を標榜している。
2019年には「脱・紙文化」、2020年には「エブリデイ・テレワーク」、2023年には「ルーチンワークの50%減」、そして2025年に「完全無人生産ラインの成立」の達成を目指して、全社レベルでのデジタル活用の施策に取り組んできた。
その背景には、やはりコロナ禍に端を発する「ニューノーマル」に対応するため、デジタル環境を全社レベルで再整備しなければならなかったことが大きかったと成田氏は語る。
「コロナ禍以前からデジタル活用に力を入れてはいたのですが、コロナ禍を機にテレワークのためのモバイルPC支給やWeb会議を中心とするオンラインコミュニケーション環境の整備、ペーパーレスの徹底といった施策を一気に加速することになりました」
これらのデジタル化施策を進める上では、経営トップのデジタルに対する理解が大きな後押しになったと振り返る。経営陣がITに理解を示さないためにDXがなかなか進まないという企業が多い中、日清食品グループでは経営トップ自らがデジタル化に対して積極的な姿勢を示し、特にセキュリティ対策に関しては「最優先で取り組む」という方針を明確に打ち出しているという。
「現在、日清食品グループでは、今後強化するデジタル施策として『サイバーセキュリティ』『グローバルITガバナンス』『業務部門主導のデジタル活用(システム開発の内製化)』『先進ネットワーク/モバイルデバイスの活用』『データドリブン経営に寄与するデータ活用基盤の整備』の5つを挙げていますが、中でもサイバーセキュリティは最も高い優先度を置き、経営の後押しのもと急ピッチで対応を進めています」(成田氏)