2023年5月24日、WithSecure主催の年次イベント「Sphere 23」が開幕した。同イベントは「The Co-security Unconference」をテーマに、本社を置くフィンランド・ヘルシンキで2日間にわたって行われる。
これに先立ち、同本社ビル前の港では「Galiana」号と名付けられたヨットの進水式を開催。同社によるパートナーシップやサスティナビリティなどへの取り組みのシンボルとなるもので、今後は各国を寄港していくという。
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(画像右)進水式の最後にシャンパン瓶を船体に叩きつける様子
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「Sphere 23」のオープニングに際して、WithSecure 社長兼CEOのユハニ・ヒンティッカ(Juhani Hintikka)氏は「サイバー犯罪が巧妙化、ビジネス化する中で個社ごとに孤立することは、犯罪者にとって新たなビジネスチャンスとなるでしょう。そこで、私たちが互いにアライアンスを結び、良好なパートナーシップを築いていくことこそが希望となります。今まさにサイバーセキュリティは歴史上大きな役割を果たしており、私たちはその歴史の1ページにいるのです」と企業や組織の垣根を越え、連帯することの重要性を訴えた。
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次に、ウクライナ国家特殊通信・情報保護局(SSSCIP)のビクトル・ゾラ(Victor Zora)氏がウクライナ・キーウからリモートで登壇。「今日この場には、ともに敵に立ち向かうためにいます」と呼びかけて、ウクライナ情勢におけるサイバー戦の在り方を語った。
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2022年1月14日にロシアによるウクライナ侵攻が始まった一方で、約9年前にあたる2014年のクリミア併合時から大規模なサイバー攻撃が始まっていたという。政府や地方自治体をはじめ重要インフラ施設が狙われる中で、サイバー空間からのサポートが通常兵器による戦いを支えていると話す。また、ロシアが常に戦術を変えながら攻撃を仕掛けてくる中で、フェイクニュースの流布、公共ネットワーク上での印象操作などを常とう手段としており、まさに“ハイブリッド戦”の様相を呈しているという。
ゾラ氏は、「忘れはいけないのがサイバー戦争には国境がないということです。公的機関だけでなく民間のリソースも含めたサイバーレジリエンスの強化が必要であり、攻撃者に対する責任追及のための法整備も欠かせません。まさに一国だけでなく国際的な枠組みでの取り組みが求められています」と最後に訴えた。
なお、「Sphere 23」の会場にはオリジナルグッズなどが並ぶ売店が設けられており、その売上がウクライナへの支援金として送られるという。
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